「正解」
積み上げられたダンボールに出くわした時雨はホッと安堵の息を漏らした。兎に角雅の部屋着を探さなければならない。
早速ダンボールを一つ一つ丁寧に開けていき、五個目のダンボールに軽装の和服が入っていた。その和服一式と下着をバスルームに置いてきて、再びダンボールを漁り始めた。
雅が戻ってくる前に出来るだけ整理した方が良いだろうと考えて忙しなく動き回る時雨。必要最低限の家具は元々部屋に付いているものの、家から持ってきた箪笥等の位置を確認しながら、それに服を畳んで収納していく。
作業をしながら、時雨は噴水に雅が現れた時隣に居た男について考えていた。手足の長い体躯に雅よりも遥かに高い身長、そして金色の髪には見覚えがあった。
(あれは鬼束)
風紀のブラックリストに載っていた息吹の情報を記憶の片隅から引っ張り出す。何故風紀の機密事項を知っているのかというと、答えは簡単だ。時雨が風紀副委員長である為である。
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