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「受け入れられる存在も偶にいる。例えば」


 腕を持ち上げ、指さす。その方向をたどれば大きな噴水、そしてその前に居るのは。


「お前の兄とかな」
「―――雅!」


 雅を視界に認めた瞬間、時雨が早歩きで近くに寄る。目を丸くするが、それは兄に対してだけではなく、兄であると断定した息吹に。


「どうして…」


 兄だと分かったんですか。そう言い終わる前に口を噤んだ。同じ姓名であるのだから当然か、と気付いたからである。
 息吹は目元を緩め、口角を上げて微笑んだ。そして雅から踵を返し、今来た道を引き返す。
 どうしてか雅は何も言えずにその大きな背中を見つめていた。

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