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「珍しいんですか?」


 雅は唐突に仕来たりと称されたこの学園へと来る事になったが、実際どういう特色があるなどの事項はあまり知らされていなかった。
 ただ、兄が通っている事と、千尋がこの学園で英語教師として雅よりも先に配置された事、そして全寮制である事くらいしか知らない。そう言われてみれば何も知らないと雅はぼんやりと思った。
 それにしても、編入が珍しいというのはどういう事だろうか。幼小中高大一貫である事は分かってはいるが、高等部から通うといった生徒はあまりいないのか。
 ともすればそれは何故なのだろう。曖昧にしか答えが出てこず、正解を求めるように息吹を仰ぎ見る。


「此処に通っているのは親に放り込まれた金持ち連中ばかりだ。中等部や高等部から編入すると敵視されたり異端に見られかねない。事実、昔は編入生がいない訳では無かったが、異端視されてほとんどが退学していった」


 息吹の的確な説明になるほど、と相槌を打つ。つまりはプライドが高い連中は中途な者をイジメの対象と見倣すのだ。


「ああ、だが」


 思い出したように息吹は呟いた。

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