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 目的地に向かう間、二人はポツリポツリと静かに会話を交わした。息吹は別段よく話す方ではないし、雅もマイペースな為時折無言が広がるが、沈黙が痛くなる事など決してなく、むしろ心地良いものだった。


「息吹さんは、何年ですか?」
「三年だ。雅は一年だろう、今年から編入するのか」
「はい」


 やはり先輩と呼ぶべきなのだろうか、と思案した雅だったが、もう既に定着してしまったし今更変えるのも変だろうと思い至って一人納得して頷いた。
 その様子を不思議そうに横目で見ていた息吹だったが、直接聞く事はない。
 深すぎず、近すぎず。どっちつかずのこの距離感に雅は安心しきっていた。
 それは息吹もまた同様で、ふわりふわりと漂う空間に愛しささえ感じていた。傍に居るだけで心が温まるような感覚は初めてで、息吹はそう思った自分に驚きつつもこのひとときを楽しんでいた。


「この学園に高等部から、というのは珍しいが」


 息吹はふと思いついた疑問を尋ねた。ほんわかした雰囲気を纏っていた雅は小さく目を瞠りながら息吹を見上げる。
 内心で身長高いな、などと話が逸れていきそうになるのを慌てて引き止めた。

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