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「ごほっごほっ」


 飲んでしまった水を吐き出そうと噎せる雅の背中を誰かが摩する。漸く落ち着いた雅はお礼を言おうと振り返る。


「ありがとうございました」


 お得意のほにゃりとした笑みを浮かべながら礼を述べれば、目の前の男は戸惑ったように目を逸らした。何も言わないことを不思議に思いながらも、雅は男を観察してみる。
 一番目を惹くのは綺麗に染まった金色の髪。日本人なら顔負けするだろうその色も、男はかなり顔が整っているため似合っている。そこまで観察して雅は首を傾げる。


「…ひとみが」


 男の瞳が、青色をしていることに気付いたのだ。一瞬なら黒であるのに、よくよく見ると瞳は深い青を宿している。


「きれい」


 うっとりと目を細めながら、雅は無意識に手を伸ばしていた。男は驚きに固まって、それを良いことに手は目元に触れる。
 雅の白く細い指が触れると瞳の色はもっと深い色に変わった。それは一瞬として同じ色は無い宝石のような、そんなものに思えた雅は愛でるように触れた部分をなぞった。

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