「ふぁー」
雅はパチクリと切れ長の目を瞬かせる。首が痛くなるほどにまで空を仰いでようやく全貌が見えるという恐ろしく大きい門。
雅は肩からずり落ちた鞄を持ち直してチャイムを探した。
「あった」
馬鹿デカい門の横にあったチャイムを難なく見つけた雅はゴクリと息を呑んだ。覚悟を決めて恐る恐るボタンを押す。
―――ピーンポーン
「…ふつうだ」
似つかわしくない普通の音を奏でたそれを見る。雅は落胆したような、しかし安心したような顔をした。
『―――はい。此方は高根沢学園です。本日はどのようなご用件で?』
「今日から転入する早乙女雅です」
『伺っております。今から門を開けますので少々お待ちください』
ゴゴゴゴゴゴ
「…すごい」
ポカンと雅は門を見やる。重そうな音を響かせてゆっくりと開く門に驚く。
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