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 ふるりと瞼を震わせて目を開ける。目前に当然のようにある夏哉の整った顔。静かに寝息を立てている夏哉はいつもより雰囲気が幼くて、新しい一面が見れたと嬉しくなる。
 俺も大概夏哉のことを愛しちまってるんだなぁと再確認。ガッシリと腰に手を回されて抱き寄せられているこの状況に何だか妙に感動して笑みが零れた。あの後、前後不覚というのはまさにこの事かと思うくらいに求められた。
 気絶しそうになっても動こうとする夏哉に、思わず抵抗しても許してくれなかった。普段は忠犬な癖して、こういう時だけは肉食獣なのだと思い知らされた。
 謝罪を繰り返しながらも野生の獣みたいな飢えた瞳で俺を貪り喰らう夏哉に心が満たされたのは勘違いじゃない。此処が俺の居場所なのだと。嬉しくて嬉しくて泣いてしまったのは俺だけではなく、夏哉も目尻に涙を溜めて幸せそうに笑っていた。
 今が幸せなら、他は何だって良い。そう思える程に、体を重ねた事は俺に意味を与えた。


「…な、つゃ」


 愛しさが溢れて彼の名前を呼ぶも、掠れて思うように声が出ない。あれだけシたら仕方ないかと苦笑する。

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