いつの間にか肌蹴させられたシャツ。素肌に手島の手が滑る。その手つきが自棄に優しくて、吐きそうになる。体を震わせる俺に、深いキスが施される。
その最中に、気付いた。どうして今、それに気付いた。どうして今まで、気付かなかったんだ。
―――夏哉が好き、だなんて。水滴が頬を伝って地面に落ちた。
(汚された)
それだけが頭の中を回る。汚された。俺は、汚れてしまった。嗚呼。もう夏哉に触れることは出来ない。夏哉だけは綺麗なままでいてくれ。俺を見ないで。俺を忘れて。汚れた俺なんか、放っておいてくれ。
「―――は、る…」
何で、来るんだよ馬鹿。来るなって俺、言ったのに。
「…な、つや…」
意思に関係なく涙が頬を濡らす。呆然とした夏哉の顔さえも滲んで見えない。汚れた俺を見られたことに、死にたいと思った。初めて夏哉の前で涙を流しただとか、そんなことはもうどうでも良かった。
好きだ、夏哉。だから、なあ。俺を見切ってくれ。
「手島ァァアアアアア!!!!!!」
倉庫に怒号が響き渡る。ビリビリと空気が震えるのを感じると同時に、手島の気配がなくなるのを感じた。鈍い音に、夏哉が殴ったのかと考えながら泣いた。
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