俺がもやもやとしたモノを胸の中に抱えてから、数週間が経った。相変わらずこのもやもやの原因は分からないままだけど、何も変わらない毎日を送っていた。
夏哉は相変わらず喧嘩を買っているし、俺も時々駆り出される。普通ではないのかもしれないが、俺にとってはもう既に日常と化していた。
そんなある日、夏哉は売られた喧嘩を買いに行っていた。授業も終わり放課後になっていたから、俺は待つこともなく一人で帰ることにした。
だけど、それがいけなかった。俺も夏哉も、油断していたんだと思う。
「―――っ!?」
帰り道。突然、俺は後ろから誰かにハンカチで口と鼻を押さえられた。
相手が誰かを確認する前に意識は朦朧としてくる。薬を嗅がされたのか、と頭の端で思うと同時に目の前は暗闇に包まれた。
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