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「総括様、食堂で会長様その他役員様方と転校生が接触しました」


(―――ああ、やはり面倒事ではないか)


 冬は表面上は顔色を変えず、撫子の話を促す。撫子は頷いて口を開いた。


「会長様が転校生に、っその、キスを…」


 先程以上に顔を歪ませる撫子に冬はバレないように目を細めた。撫子の肩書きは生徒会会長親衛隊隊長。そしてその上を行く冬の肩書きは、全親衛隊総括。
 まず、親衛隊についてであるがこの学園は王道学園であって、全寮制男子校である。ホモやバイという男同士の恋愛が交差するここでは外の常識は通じない。一言で言えばこの学園は異常だった。
 見目が麗しい者を信仰の対象として崇め、更には制裁という名の犯罪が行き交う。それを学園側は黙認するのだからどうしようもない。それでも偏差値の高いこの学園は金持ちの野郎共の巣窟である。
 世間では進学校として名高いが、実情を知らぬ者が大半だ。冬はそんな学園で信仰者、もとい親衛隊の総括をしている。


「…北君、案内してくれますか」
「はい!」

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