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「覚えておいてくれ」


 少し体を離した明が微笑む。


「俺は冬を愛していること。それから寂しいこと」
「クサい台詞だね」


 クスクスと笑う冬に明はムッとして額にデコピンをする。


「いたっ」
「真剣に言ったのに笑うからだろう」
「ふふ、ごめんごめん」


 拗ねている明に冬は笑みをおさめ、背伸びをしてキスした。実は冬からするのはこれが初めてである。明は何をされたのか理解した途端顔を真っ赤に染めた。


「行ってくるね」


 もう時間だから。そう言って体を反転させた冬を、明は腕を引っ張り遮った。そして自分の方に向かせて紅い唇に口付けた。深いキスに冬は拒むことなく受け入れる。


「…休みには会いに行く」
「毎日電話するね」
「帰ってきたら」
「雪の…お墓参りに行こう」
「絶対だぞ」
「約束」


 ふわりと笑い合ってどちらからともなく体を離す。待っていた車に乗り込み、走り出して見えなくなるまで明は見送って踵を返した。恋人が頑張るだけ自分も頑張ると決めたのだ。


((この青空の下に居る限り、心を共にしよう))


 二人誓った言葉は、神様だけが知っている。


end

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