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 手術中の文字が点灯する。あれから明は気を失ったままで目覚めなかった。このまま消えてしまうのではないかという不安と恐怖に冬は震えた。


「―――冬君」


 安心感を与える声に顔を上げると、翠里が穏やかな表情で歩いてきた。冬の隣に座ってじっと見つめてくる彼に微笑みかける。


「自己紹介がまだだったね。私は狩矢翠里。知っての通り明の父親だよ」
「…白神冬です」


 何故そんなに普通でいられるんですか、と零したのに翠里は相変わらず微笑みを浮かべ続ける。これが彼のスタンスなのだと冬は気付いた。


「負傷部分は急所を外れていたし、冬君が止血してくれたおかげで出血多量の心配も無いからね」


 そういえばと冬は思い出す。


「警察、でしたね」
「今更だね。以前に会った事もあるのに」


 以前?首を傾げた冬に翠里は微笑む。


「白神雪の事件を担当したのは私だよ、冬君」
「!」
「一つ、謝りたい事がある」


 翠里は驚いている冬をそのままに立ち上がり、膝を折り曲げて額を床につけた。所謂「土下座」である。冬は更に驚きに目を瞠りながら見つめた。まだ冬は何に対して謝っているのか分からないから。

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