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 情報収集は苦労した、と翠里は眉を下げる。雪の存在を知られてはいけない。もし世間にバレると混乱を招くに違いないからだ。
 だから不特定多数の者に聞くのはNGだし、雪が殺されたというのも伏せなければならない。冬は変わらずに生きているのだから、バレてしまう確率が高くなる。
 調査は慎重に行わなければならなかった。警察である事さえ隠さなければならないので、神経をかなり削ったのだろう。


「なら」
「それがね、結構な数の子どもが参加していたらしくて。でも渡された子どもは絶対白神家だったって言うんだ。その証言人は元々白神家に仕えていたから見間違いや嘘ではないようだ。第一発見者である雪君の父親も信用出来ると言っていたからね」
「他に特定出来る特徴等は?」
「男の子だった事、雪君と同年代くらいである事しか分からない。それでも十数人までには絞れたんだけど…」


 溜息をつく翠里に明は顔を歪ませた。


「そこで手詰まり。何より状況が悪くて動けないのが敗因だ」
「なら分からないって事か」


 んー、と翠里は唸る。歯切れの悪い翠里を不審に思い問い詰めると、微妙な顔をしながら「目星はついている」と呟いた。

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