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 まあ、そんなこんなで案外アッサリとFクラスに馴染んだ俺。というわけで。初めて補習して分かったのは、本当に四人は壊滅的だったって事。ただしそれぞれ得意科目はあるようだ。なんというか、自分に正直というか、自分が楽しいと思ったことだけ熱中する傾向が全員あるようで、得意科目は他の科目と比べて抜き出て良かったりする。その興味を他の科目にも向けてくれたら良いんだが。
 ちなみに、四人衆以外のFクラスのメンバーは大丈夫だった。赤点を取る心配はないし、平均もある。その中でもトラは秀でていた。学年で20位以内には必ず入っているのだからトラには補習は必要ない。のだが、何故か四人衆の補習を行っている時、俺の隣にいる。邪魔にならなきゃ別に良いのだがな。


「おし、上がり」
「ずりぃ!」
「くそ、何でお前そんな上手いんだ!」


 一番に上がれば凄い文句を言われた。理不尽だ。


「「「「あ」」」」


 四人がシンクロした声に振り向けば、ドアを開けた状態で固まった四人衆を見つけた。なんだか懐かしい顔ぶれに思える。最近はずっと色んな人に出会って振り回されていたからか、安堵する自分がいた。


「邪魔してるぞ」


 微笑みかければ固まっていた四人がハっと我に返って突進してきた。


「望月じゃねぇか!」
「久しぶりー!」
「…もち」
「久しぶりだな、望月」
「とりあえず佐々木、その呼び方はやめてくれ」


 俺は断じて餅じゃないからな。高橋は頬を緩ませて…言っちゃあなんだが物凄く馬鹿っぽい。いや、馬鹿なんだけどな。顔が良いってのは得だな。ってそれを言ったら俺が虚しいだけだし止めよう。
 清水は目を爛々と輝かせて突っ込んできた。小さいからなんとか耐えれたが、力はかなり強くやっぱり男なんだなと思う。佐々木は無表情ながら雰囲気が喜んでいる気がする。尻尾があったならフリフリしてそうだ。俺の隣には眼鏡を直しながら挨拶してくる長谷川。相変わらず優等生だな、外見だけ。でも揃って俺の元へまっしぐらに来てくれたことを思えば、懐かれているようで嬉しい。


「でも望月が来たって事はぁ」
「テストが近いという事だな」
「………勉強、ヤ」
「また勉強かよーだりぃな」


 明らかに面倒そうな顔をする四人に苦笑する。こればかりはどうしようもない。俺だって湊さんに頼まれているのだから、今更撤回は出来ないし、やると言ったからには最後までやらないと気が済まない主義だからな。


「そう言うな。赤点取りたくないだろう?」
「………ん、」
「…ああ」


 よしよし、と近くにいた佐々木と高橋の頭を撫でてやる。コクリ、と頷く二人に思わず笑みが溢れた。

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