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「俺は大嶺虎之助だ。好きに呼べ」
「「「「「うおおおおおおおお!!!!」」」」」
「!!?」


 大嶺が言い放った瞬間、そこら中から雄叫びが上がる。意味が分からなくて目を白黒させている俺に、目の前にいる大嶺が口角を吊り上げた。


「お前の名前は?」
「…望月。望月、怜那」
「レイナ、ねぇ」


 何を言われるのかと身構える俺に、この男は。


「じゃあレイでいいな」
「は?」
「あだ名。いいだろ?」
「別に、良いけど」


 何がしたいのか分からなくて首を傾げる。


「お前は?」
「?」
「お前は俺のこと、何て呼ぶ?」


 何の話だよ。いや、なんとなく分かるけれども。


「…トラでいいか?」
「ああ」


 大嶺、もといトラは先程の不適な笑みではなく柔らかく笑った。俺は思わず目を丸くした。いや、だってさ。なんていうか、ギャップ?みたいな。


「俺以外には呼ばせるなよ?レイ」
「了解」


 理解しきれてはいないが、とりあえず殴られる方向は無さそう、だな。


「まあ、あれだ。お前大嶺サンに認められたんだよ」


 良かったなー、と笑う不良A。一番最初に俺に話しかけてきた奴が耳打ちしてくれた。なるほど、と俺は頷く。まあこれで俺は大丈夫なようだ。


「そんで、聞きたいんだけど」
「んー?」
「赤点まっしぐらな馬鹿ってどいつ?」
「ぶはっ」


 唐突に噴出した。何故だ。


「お前何気に酷いなー」
「望月だっけ、良い根性してるな」
「で、赤点まっしぐらな馬鹿、だっけ」
「そりゃあアイツらだよな」
「あいつ“ら”?」


 一人じゃない、のか?


「おう。お馬鹿四人衆って呼ばれてるぜ」


 四人もいるのか!?湊さん俺聞いてませんけど?

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