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「お前が首位?」
「ああ」
「へー」
ジロジロと見られ、居心地が悪く身を捩る。不良たちは上から下まで見た後に、ニカッと笑った。何事。
「いいんじゃねぇの?」
「ああ、下手に見下してる奴らよか全然マシだな」
「俺ら見てもビビってねぇし、案外度胸ありそうだな」
「まあ大丈夫じゃね?」
「っつか首位がこんな奴だとは思ってなかったなぁ」
よく分からないが、受け入れられた?
「あ゛?誰だお前」
ブワリ、と威圧が襲う。低い、野獣のような声音。ゆっくりと振り向けばそこには。
「!」
赤い髪を逆立たせた、生徒会や風紀と並ぶほどの美形。ただし、不良(ここ重要)。当時一年にして三学年のFクラスの頂点になっていた、大嶺虎之助。あ、そういえば同学年だった。なんて遠い目をしたが、もうすでに後悔しても遅い。
「Fクラスの補習担当になった望月だ」
どうにでもなれ。そんな気持ちで自己紹介を簡潔に済ます。
「………」
まるで品定めするかのように俺を見つめてくる大嶺。なんとなく目を逸らせば負けなような気がして、俺も見つめ返す。
どれくらい経っただろうか。周りは静まり返り、ただただ俺と大嶺の様子を見ているだけ。そうして動いたのは。
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