◇◇◇
俺とFクラスがこれくらいに仲良くなるまでにはそれほど時間は掛からなかった。
「失礼するぞ」
理事ちょ…じゃなくて、湊さんから補習の話を受けた次の日、俺はFクラスに来ていた。詳しい話によると、補習するのはFクラス全員らしい。
まあ大体は普通に勉強出来る奴らしいのだが、その中でも壊滅的な馬鹿がいるらしく。その馬鹿な生徒を赤点から免れればいいらしい。ついでに全員に教えてやってくれれば良いよ、とのことだ。なんとまあ面倒なことを押し付けてくれたのやら。
「あ゛あ?誰だテメェ」
「あー、成り行きで補習を担当することになった望月だが」
「補習?」
「なんかそんなこと言ってたなぁ」
「あぁ、鬼の話って本当だったんだ」
「学年首位が来ると、か…」
「「「「「ん?」」」」」
「?」
「学年首位?」
「誰が?」
「これが?」
「この平凡が?」
「え、マジで?」
「嘘じゃねぇの?」
「本人に聞けば早いんじゃないか」
一斉に不良たちの目線が刺さる。俺は頬をポリポリと掻きながら言った。
「あー、悪い。俺が主席だ」
案の定全員目を丸くする。やっぱりなぁ、と俺は乾いた笑いを漏らす。まあ想定内っちゃあ想定内なんだが。
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