45 お馬鹿四人衆



「失礼」


 Fクラスに足を踏み入れる。
 クラスはS・A・B・C・D・E・Fの7クラス構成で、主に成績順である。Sは言わずもがな成績優秀者であると同時に家柄の良い奴らが基本。俺が所属するのはAクラスで、家柄関係なく実力がある奴が集まる。
 例えば俺のように成績待遇の特待生やスポーツ推薦、あるいは芸術などが秀でている者。つまりは何でも有りだ。Aクラスでは競争概念が無いから仲が良いという訳。
 で、逆にFクラスと言えばまさに不良や問題児、頭と家柄があまりよろしくない奴らが集まっているのだ。だからFクラスは団結力が半端ないし、他クラスから恐れられている。まあそれも一部の奴とは仲が良いのだが。


「「あ゛?」」


 入り口近くの奴二人がハモった。そいつらは俺の顔を見て、パッと顔を輝かせる。


「望月だ!」
「望月が来たぞ!」
「え。マジ!?」
「ちょ、ほんとだ!」
「望月ぃぃぃぃい!!」
「望月じゃん!」
「ぐえっ」


 いや、ちょ。カエルが潰れたみたいな声が出たじゃないか。一斉に不良共がタックルしてきて、支えきれずに尻餅をつく。


「お前ら落ち着け」
「無理!」
「久しぶりだしなー」
「望月だああああ!!」
「確かに望月だけどさ」


 揉みくちゃにされながら早く離してくれないかな、などと現実逃避。

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