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◇◇◇


「え、俺が補習ですか?」
「うん、そう。補習」


 ニッコリと笑んで俺の言葉をオウム返ししてくる、こちらのお方。一度だけチラッと言った気がする、理事長様だ。編入する際に理事長に挨拶に行けば何故か気に入られ、それ以来茶飲み友達である。どういうわけか、相当気に入られたらしい俺は、週1の頻度で呼び出されていた。


「俺単位落としましたっけ?」
「ああ、違う違う。相変わらず怜那君は素晴らしいと評判だよ」
「いえ、そんなことは無いと思いますが」


 俺は自分が補習なのかと驚いたがどうやら違ったらしい。ほっと息を撫で下ろした。
 そうそう。理事長、秋花湊さんはそりゃあ恐ろしいほどに美形でありまして。まあ予想通りって言えば予想通りなんだけども。一見クールで出来る人、といった雰囲気だが話してみれば物腰が柔らかい良い人だ。
 ただ、案外に腹の中は真っ黒で何を考えているのか分からない食えない人であることも、この知り合って間もない俺にも分かった。けれども理事長に秘書がいないのだから、相当出来る人なのだということは嫌でも分かっているが。20代後半だろう彼は若くしてやり手である。元々家が権力者の集まりであることもあるんだろうけど、それにしても一族の運営している学園の理事長をしているのだから、その一族の中でも優秀なのだろう。言わずとも秋花学園は読みは違えど秋花一族の所有であることは分かりきっているのだから。

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