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◇◇◇
「っ」
異常な痛みと熱で、俺は起きた。酷く視界がブレる。身体に力が入らないことに溜息を吐き出すと同時に部屋のドアが開いた。
「起きたのか」
「…立花先生?」
ぼんやりと人影が分かるくらいで、はっきりとは分からない。声で判断してみたが合っていたようだ。
「ああ、食欲あるか?」
コクン、と頷くことで返事を返す。今は喋るのも辛い。
「雑炊作っておいた。野坂は料理出来ないと聞いていたから来たんだが」
迷惑だったか?と聞いてきた立花先生に首を横に振る。
「まさか。来てくれてありがとうございます」
厳の料理なんて食べたらそれこそ死ぬ。いや、むしろキッチンが壊れる。立花先生の好意は心底有難かったので心から礼を述べた。
「えっと、先生?」
「なんだ」
「自分で食べれますよ?」
口元に差し出されたレンゲに断りをいれる。が、立花先生はにっこりと一刀両断した。
「身体動かすのキツいだろ?」
いや、確かにキツいが。
「ほら、あーん」
そんなホスト顔で「あーん」とか言ってほしくない。仕方なく俺は口を開けた。
「…あー、ん」
程よく冷まされたそれはかなり美味しい。
「美味いか?」
不安そうにする立花先生に微笑んでみせる。
「美味しいですよ」
「そうか」
嬉しそうな立花先生は何だか犬みたいで可愛い。尻尾があったならパタパタしてそうだ。
「ほらあーん」
「あー…」
でもこれは恥ずかしい。もきゅもきゅと食べた後、水と薬を渡された。
「それ飲んだら湿布代えるぞ」
「はい」
大人しく薬を飲むと、部屋に厳が入ってきた。
「湿布は私がやるので先生はもういいですよ」
「チッ」
「や・く・そ・く」
「…分かったよ」
約束とは何だろう。正直気になるが、厳の周りにダイヤモンドダストが見えるので口を噤んでおく。
「ちゃんと休めよ」
「ありがとうございます」
立花先生は手をヒラヒラ振って部屋を出て行った。
「ほら、シャツ捲って」
「ああ」
厳に促されるままシャツを捲る。険しくなる厳に「またか」と心の中で溜息をついた。
「怜那」
俺の名前を呼び捨てにする厳を見上げる。真剣なその表情に思わず怯んだ。
「殺ってきてイイ?」
「駄目駄目!殺したら駄目!!」
殺人鬼な友人などいらない。今にも立ち上がって「殺」ってきそうな厳の腕を慌てて掴む。
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