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「なあ」


 俺が口を開くとは思っていなかったのか、後ろで喚いていたKYも口を噤んだ。


「俺はさ、興味ないんだよ。お前にもそこの編入生にも、生徒会の野郎共にも」


 発した声は、自分でも驚くほど冷たく低かった。


「どうでもいいんだよ。殴られようと、何をされようとも。編入生が親衛隊に何をされようとも、だ」


 俺はあえて相手が逆上するだろう言葉を選んだ。


「てめぇっ!!」
「っぐ!」


 腹を思い切り殴られる。血の味が滲むのを感じながら、頭だけは冷静だった。ああ、やはり殴られたかと。
 ジクジク痛みを訴える腹を無視して、見上げる。編入生が来てからのこの一ヶ月、俺は友人たち、親衛隊に幾度となく相談を持ちかけられた。それはもちろん各親衛隊の隊長、副隊長、幹部を含めて、下っ端の子たちからも。
 どの子も目を泣き腫らし、赤くして、涙を流しながら俺に聞くのだ。「どうしたらいい?」と。それは俺が思うより遥かに上をゆく深い言葉だった。


「彼らは自分が慕うお前たちを本当に考えている。編入生に制裁すれば悲しむのだろうと、必死に理性で自分を押し込めているんだ」


 悲痛な彼らの表情。でもそこには確かに決意の炎が宿っていた。泣きながら笑う彼らを思い浮かべる。


「お前たちも自分が恋をして彼らの気持ちが分かるだろう?嫉妬に狂いそうになる気持ちが。現に俺に暴力を奮うのも制裁と一緒だ」


 静かに取り巻きを見回す。それぞれが下唇を噛み、俯いていた。

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