15 親衛隊の想い
雷先輩の言う「あいつら」とは誰なのだろうか、と考えながら教室までの道のりを歩く。教室に着き、ガラリとドアを開けると最悪の出迎えが待っていた。
「あっ!怜那どこ行ってたんだよ!!授業サボっちゃ駄目なんだぞっ!!!」
いや、お前に言われたくないから。出席日数足りてないのは俺じゃなくお前だから。はぁ、と心の中で溜息をついた。
見た目はオタクっぽい根暗な印象を覚える少年の騒音、編入生近衛陽をスルーする。放課後になったのだからもういないと踏んでいたのだが、わざわざ待ち構えていたらしい。とんだ迷惑だ。
「怜那!人の言う事は聞かなきゃいけないんだぞっ!!」
そっくりそのままお前に返してやる。一々大きい声に耳を塞ぎたくなった。心底ウザいし蹴散らしてやりたいが、そんな事をすると取り巻きの美形たちが五月蝿いのでやらない。
相手をするのも億劫なのでKYの存在は一切無視だ。言っておくが、俺は名前を呼ばれることを許してはいない。だが「何言ってんだよ!俺ら親友だろっ!!?」と、KYはのたまった。お前の頭の中は花でも咲いてんのか。
その際、流石の俺でも殺意が湧いたのだが、確実に厳の殺意の方が大きく上回った。キレそうになっていた、というよりももう一足早くキレた厳を止めたのは言わずもがな俺だ。俺の為に怒ってくれるのは嬉しいが、殺人はしてほしくなかったしな。アレは人を殺せそうな目つきだった。取り巻きの美形たちも青褪めて震えていたし。
そして厳は俺の為にキレたせいで暴れて教室を破壊してしまったので今は寮で謹慎している。ということは今の俺は格好の餌食な訳で。
「―――って!おい怜那聞いてんのか!!?」
いや、聞いてませんけど。不意に肩をKYに掴まれて、反射的にその手を叩き落とした。
「おい平凡。俺の陽に何してんだ」
何してって寧ろ何もしてないけどな。ドスの効いた低い声に面倒臭いと思いながら見やる。するとグイっと襟元を掴まれ引き上げられた。
苦しさに眉を顰めながら俺は冷ややかな目でそいつを見た。王道編入生の取り巻きの一人、分かりやすく言えば一匹狼だろうか。この状況では今から殴られることは容易に想像できる。だが、その前に言っておきたいことが一つ。
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