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「本当に、我慢出来なくなったら言って」
「はい」
「絶対だよ?」
「はい、分かってます。一番に森永先生に会いに来ます」


 そうやって俺が言うと、先生はボンっと音を立てて真っ赤になった。


「先生?」
「これは、無自覚なのか」


 なんとなくデジャヴを感じる。前に立花先生にも言われたような。


「心臓に悪い…」
「え、大丈夫ですか?」
「この天然たらしめがっっ!」
「え、えぇ!?」
「約束!一番に会いに来てよっ」
「あ、はい」


 結局何が何やら分からないまま頷く。


「ほら、出て行った出て行った」
「え、ちょっ」


 ポイっと森永先生に保健室から投げ出された。


「…俺、怪我人なんだけど」


廊下に響いた俺の声は正論だと思う。渋々立ち上がってトボトボとその場を後にした。


◇◇◇


静まりかえった廊下を歩きながら当てを考える。いつの間にか昼休みは終わっていたらしく、今は授業中だ。途中から授業を受けるのも気まずいし、元々行く気がないのでサボり場所を探している。
 高校に入ってからのここ一年は授業をサボったりはしたことがなかった。理由は「平和に過ごしたい」からだったけど。教師に目を付けられるのも嫌だったからサボったことは無かった。
 けれどもう平和ではないし、今更だし平気だろう。それにしても、何処が良いだろうか。考えながら窓の外を見ると、晴れ晴れとした青い空が広がっていた。


「…良い天気だし」


外に行くか。と歩く速度を速めたのだった。

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