〜スモーカーside〜



マリアと別れたあとのスモーカーはというと頼まれた事を済ませるために目的の人物を探す。



前方に部下らしき人物とやりとりをしてるのが見えたので足早に近づいてゆく



・・・おい。


あら、スモーカー君じゃない、久しいわね。何か用かしら？

部下に下がっていいと手で指示してスモーカーへ顔を向けると、いつも不機嫌な顔が更に不機嫌な顔をしていて言いたくなさそうな表情をしてるように見て取れる

・・・・あいつが

？

・・・マリアが、お前に会いたがってた

マリア君が？

今日たしぎも誘って四人で飯でもどうか、と

・・・珍しく貴方から声を掛けてもらったと思ったら、そういう事ね。そういえば最近忙しかったからマリア君とも暫くお茶してないわ。また予定立てなきゃ

・・・・・

それにしても・・・ねぇ？

そう呟くと、ヒナがスモーカーに視線を少し向けると何かを思い出したかのようにフフッと笑みを浮かべた


貴方もやはり人の子だったのね

・・・いきなり何だ

だって、貴方みたいな人がよ？誰かに甘くしてる所なんて初めて見たから。ヒナ、驚き

・・・・・・

たまたま通りかかっただけなのよ。マリア君と話もしたかったしね。だけどお邪魔のようだったから


だからそんなに睨まないで頂戴？と困ったように言うヒナの顔は新たな発見をして嬉しそうな表情で今後話のネタにされることを思うと頭が痛くなりそうなので今は何も考えない


一つ、教えてあげるわ。知ってると思うけどマリア君ってモテるのよ。本人は気がついてないけど


・・・だろうな。ああ言うやつだ


スモーカー自身も自分の幼馴染みを昔から間近で見ていた為モテる部類なのはよく知っていた。



クリームがかったゴールドの髪色にゆるくパーマがかかるウルフカット、サイドが短めに切りそろえられたツーブロック、といった髪型で耳にはピアス。一見すると軽そうな印象を与えてしまうが、話してみると印象はガラッと変わるであろう。


分け隔てなく誰とでも仲良くなれる人柄に人懐っこい笑顔


スモーカーには劣るが背丈も中々にあり体格も良し


そして独り身だ


となれば。



狙わない女性がいないはずもなく、よく声を掛けられてるいわゆるナンパをされてることなんかよくある話だ


だが


この間男に言い寄られてたのよ、彼



・・・・何だと


野郎となると、話は別になってくる


先程までの空気がガラッと変わり、僅かに殺気を放ちながら苛立ちを見せるスモーカーをよそにヒナは話を進めてゆく



聞けばスモーカーが異動したのをきっかけに、マリアに話しかけたり誘ったりされる事が増えたという。中には懲りずに何度も誘ってくる輩もいるようで(それが同じ海兵いうのが気に食わない)困ってる事をポロリとヒナに溢した事があるそうだ。


異動した事で起こったデメリットが出てくるとは思いもよらず頭を抱える他はない



そして何よりも




彼奴が




あいつのあの笑顔が





他の野郎に向けられる事が何よりも腹立たしい



そう思っている自分がここにいる。


・・・スモーカー君、私の話聞いてた？


・・・あぁ


本当かしら・・・まぁいいわ。私の言いたい事は済んだから早く行ってあげて頂戴

じゃあね、と背を向けて片手をヒラリと振り去って行く姿に慌てて今日どうするんだと問い掛ければ


ん〜そうね、私はたしぎを誘って女子会にいったという事にしておいて頂戴。貴方達二人で楽しむといいわ。

じゃあね、と言いかけるが何かを思い出したようにくるり、と体をこちらに向けてスモーカーの方へ指を指し



覚えといてちょうだい、彼を悲しませたら私があなたを禁縛(ロック)、してあげるから。



ヒナ、本気よ？と和かに微笑みながら颯爽と歩いて行ったその姿に小さく舌打ちをしつつ彼女が去って行った反対の方向へと歩みを進めていった











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