(なんなんだ彼奴・・・ほんっとに、なんなんだよ・・・!)
約束を(一方的にと言っても良い)取り付けたその後はと言うととても仕事をこなせる状態ではなかった。
マリアの頭の中はスモーカー一色で作業を行なっていても先ほどのやり取りを思い出しては顔を赤くしていたので厨房の仲間に大丈夫かと心配されてしまう次第だ
心配してくれた仲間に大丈夫だからと答えつつ彼奴のせいだと文句を垂れながら作業を再開する。いい加減真面目にやらねば、と思考を切り替えて黙々と作業をすすめ始めた。
けれど色々思考を巡らせてゆくものの辿り着く先にはやはり幼馴染の彼奴の事で・・・
(俺って今相当重症だと思う)
「全く、人の気も知らねーで何でああいう事してくるんだあの煙野郎は・・・俺が頭撫でられるの弱いの知ってて絶対やってるだろあんなん・・・・相変わらず優しいし、かっこいいし・・・本当、どうしてくれんだ「マリアー!この献立の事で聞きたい事があるんだが・・・」どわあぁぁぁ!??ビッックリさせんじゃねーよマークス!!」
悪いな、でも何回も呼んだんだぜ?とカラカラ笑いながらこちらに向かってくるのは俺と同期で厨房の副チーフを務めているマークスだ。ちなみにチーフは俺。
海軍本部の厨房をまかされている古参メンツの一人で俺との付き合いは配属当初でかれこれ10年以上苦楽を共に過ごしてきた大切な仲間だ。
だから俺が何に頭を抱えているかとかそういうのも知っているわけで
「そういやぁどうだった?」
「・・・何が」
「何がって、お前さんのだーい好きな中将殿と、久々に再開した感想だよ」
それぐらい聞かせろよとニヤニヤしながら言ってくるもんだからこいつもタチが悪い。
「・・・・・・・・・・相変わらず、元気そうだったよ」
「なんだなんだその間は、すげー気になんだけど。詳しく聞かせろ!」
「何もねぇから!ばっ、こら!くっつくんじゃねぇよ暑苦しい!!」
「いーじゃねーの、俺とお前さんの仲だろ?」
どんな仲だよ!!とぎゃいぎゃいと言い合いを繰り広げる二人の姿をまた戯れてるよと仲間のスタッフが笑いながらその光景を見ているのはいつもの事。
こういう他愛のないやりとりも時にマリアの気持ちを和らげたり落ち着かせてくれるものとなっているからある意味大切な事であろう。
荒れていた調子も段々と普段の調子に戻ってきたので俺の事は良いから仕事に戻るぞ!とゲキを飛ばしながら仕事を再開していった
(仕事に戻ったマリアはいつもよりご機嫌で鼻歌交じりで過ごしていた姿を何人かのスタッフに目撃されていたそうな...)
5
[
prev] [
next]
[
back]