仮想世界のような現実



現実だとは、思えなかった。思いたくなかった。



体育館へと集められた私達は、この学園の学園長だと言う白黒のモノクマと名乗るクマのぬいぐるみ―――モノクマーズの父親らしい、同型なのだろうか―――奴に、"コロシアイ"をするよう命じられたのだ。
モノパッドには校則としてルールが書かれており、徹底ぶりが伺える。最後の二人になるまで耐え忍び生き残るか、または……ここにいる誰かを殺して学級裁判で騙し抜くか。どちらかにならねばここからは出られないらしい。
外には勿論出たいし、やらなければいけない事が山ほどある。出したい論文だって書きかけだし、あと少しで新薬のヒントだって得られそうなのに……。そう考えてしまうが、私は命を救う学問を研究しているのだ。易々と自分のために命を奪っては元も子もない。


赤松さんがモノクマへ言い返し、私達の団結を促したときは彼女はピアニストだけではなくリーダーのような才能も持っているのではないかと思えた。
彼女からはじまった作戦会議は、超高校級の昆虫博士であるゴン太くんが地下に続く道を発見したと報告したことによって行動へ移すことになった。

こんなに様々な技術や力を活用して拉致監禁されているというのに、そんなに簡単に出られるのだろうか?






「わぁ、大きいね。」

梯子を下りると、ついついそんな言葉をつぶやいてしまう。
そんな私の声は地下の大きな空間に反響した。薄暗く、なにやら危険と書かれたものまであり少し危険な場所な雰囲気がするが、それ以上に異様な空間が先にあった。


「あからさまですねー……。」
「でも進まないと出られないよ!」


そう、罠であると自己主張しているかのような"出口"と書かれた木の立て札。こんな場所にRPGのような木の立て札がある時点で妙なのだが、私達はこの場所以外に外に繋がっていそうな場所は知らなかった。

赤松さんが渋るメンバーを励ましながら、少し照れ臭そうに笑った。


「ねぇ、ここから出たら……皆で友達にならない?」
「友達?」
「うん。こんな事に巻き込まれちゃったけど……超高校級の人とこんなに会える事もないでしょう?それにこんな事に巻き込まれちゃったからこそ、私達きっといい友達になれると思うんだ!」


そう言って今度は少し不安そうにどうかな……?と皆の顔色を伺う彼女に、皆が同意した。そんなに素敵な話、だれが断るだろうか?


「うん、きっと素敵な友達になれると思うな。頑張ろうね。」
「奏多さん!……うん、よーし頑張るぞ!」


皆の士気も高まったところで、私達は長いトンネルへ足を踏み入れた。







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