天才の集う場所



元気な幼い子ども達のような声をしたクマ型ロボット5体こと、モノクマーズ達が去っていくと、私達は彼らの言葉の真意を考えながらこの場所を調べることにした。

そう、私はギフテッド制度によって選ばれた"超高校級"の称号を得た生徒だ。そして、目の前にいる天海くんをはじめ私含めた17人の超高校級の生徒たちがここ"才囚学園"という場所に集められたらしい。
全国に散らばっているはずの超高校級である17人もの高校生を、一体どうやって、どんな目的で集めたのか……何故、私達なのか。
それが分からない以上、あの変なクマのぬいぐるみ達に逆らってはいけないのではないかと直感で感じた。


私と同じ場所で目を覚ました彼は、なんと超高校級がなんだったのかすら記憶にないらしい。
頭に強い衝撃を受け、記憶障害を起こしているのではないかと思い怪我をしていないか確認したが、見たところではこれと言って気になるところはなかった。医療施設がない分、検査できないのが悔しいところだが、それもここを出たら彼をしっかりと検査してあげられるだろう。



そんな私達は一緒に才囚学園を歩いているのだ。既に何人かの超高校級の生徒達と会い、自己紹介もした。天海くんは自分の才能を忘れている生徒が他にもいないかと期待しているようだったが、残念ながらいなさそうだ。彼は何やら難しそうな顔で考えているのが、思い詰めていなければいいんだけど。


食堂や倉庫の探索を終え、地下方面へと向かおうとするとまた新たな超高校級の生徒であろう男女2人組がやってきた。雰囲気がだいぶ違う二人組だが、きっと私達と同じように同じ場所から来たのだろうと思った。


「貴方達も集められたの?」
「そうっすよ、君達もっすか?」
「そうなんだ……本当、困っちゃうよね。私は赤松楓、超高校級のピアニストなんだ。」

そう言って朗らかに笑った彼女は、確かに指先が一般人よりも手入れされていて、綺麗だ。ピアニストというのも頷ける。

「僕は最原終一、一応超高校級の探偵ってことになってるけど……。」
「もう最原君!一応じゃないでしょ!」

続けて自己紹介をしてくれた彼は帽子を目深にかぶっていて、どちらかというと探偵より不審者の方が正しい気もする。制服も真っ黒だし。
それにしても見たときの印象通り、彼らの性格は真逆らしい。

「貴方達は?」
「まだ自己紹介してなかったね、ごめんなさい。私は奏多なくら。超高校級の医学者って呼ばれてるよ。」
「医学者?お医者さんとは違うの?」
「うん、医師免許は医学部に進学しないといけないからね。私はまだ高校生で無免許だから、医学者ってことになってるの。医学をはじめとした医療関係の学問を学んでいるよ。」

「僕、知ってるよ……。超高校級の医学者は実際に診療できないものの、医学をはじめとする医療に必要な知識を豊富に持っていて、いくつもの新しい手術方法や難病の特効薬、感染症のワクチンとかの理論を広めることで医療業界に多大なる貢献をしているって話だ。」

「流石探偵さんだね。私は理論として提出したものを、困っている人達を救うのに役立ててもらっているだけなの。実際に助けられないのはもどかしいけどね。」

「すごいよ!貴方の考えで沢山の人が救われるんだね!かっこいいなぁ。」

「そう言ってもらえると嬉しいな。」

自分の才能をこれでもかというほど褒められ、少し恥ずかしくなり髪の毛を触りながら笑うと、赤松さんは元気にごめん!と言いながら天海くんの自己紹介を聞いた。

「才能が思い出せない?」
「こんな奴信じられねーっすよね、でも俺も自分の事を信じられないんで許して欲しいっす。」
「天海くん、大丈夫だよ。きっと私の研究教室が解放されたら、思い出せるよう最大限の治療をしてみせるから。」
「……超高校級の医学者にそう言ってもらえると、ちょっと安心するっすね。ありがたいっす。」

へらっと力なく笑う彼は、やはり気になるらしく赤松さん達と話を終えるとすぐに動き出してしまった。
後を追うために赤松さんと最原くんと別れ、あとをついていくことにした。


……外に出た私達は、絶句する他選択肢はなかったのだけれど。







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