愛情表現 【9】
プルルル…プルル…
「もしもし」
「憲ちゃん…」
「何でそんなに泣いてんの?」
「寂しいから…」
「何が?」
「憲ちゃんが何もゆってくんないから」
「じゃあ愛情表現する?」
トントンと肩を叩かれた。
振り向くとチュッとキスをされた。
「電話してきた意味分かってんの?」
左手を目の前に突き出した。
「憲ちゃんだけは捨てられない」
「俺、何もあげられないよ」
「いい、期待してないから」
してもう一度チュッと愛情表現をした。
「そうだ、一つだけあげられるよ。」
「なに?」
「俺のこれからの時間」
また回りくどい言い方を…。
「もらっとくね」
「それともう一つ…新しいベッド」
それから…ずっと新しいベッドで愛情表現をする。
溢れ出る気持ちを私が受け止めれば言葉はなくてももう迷わない。
end
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