女々しい俺の恋 【25】

「ナルちゃん…」

「ごめん、中学の時からずっと好きだったんだ…」

 言った。

 こんな最悪のシチュエーションで10年ずっと言えなかった言葉を何度も心の中では伝えてきた言葉をようやく口に出来た。

 愛ちゃんは何も答えずにただジッと俺の顔を見ている。

 その表情からは俺は何も読み取る事も出来なかった。

「10年も付きまとってた俺の事…気持ち悪いって思うよね」

「い、いつも頑張れって振られても慰めてくれて…愚痴とかも一晩中聞いてたよね…?なん…で?」

 そうだよね、普通は不思議に思うよね。

「愛ちゃんが笑っててくれて俺はそれを側で見てるのが嬉しかったから」

 ポタッと自分の足に雫が落ちて初めて自分が泣いている事に気がついた。

 それでも涙を止める事も拭う事もせずに俺は今自分の気持ちを伝えて愛ちゃんに嫌われたくない思いで必死だ。

「気付かなくてごめんなさい…」

「ううん、出来れば…これからも今まで通りでいてくれたら」

 泣き笑いの表情の俺に愛ちゃんは困った表情で返して来て俺はそれ以上は何も言えなくなってしまった。

 長い沈黙が続いてこれ以上どうにもならない事を感じると体の向きを変えて履きかけの靴を履いて玄関のドアを開けた。

 もう戻れないんだと思うと俺の涙腺は壊れてしまったように次から次へと目から溢れた涙は玄関の床を濡らしていく。

「き、気持ち悪くなんかないけど…今まで通りは…む、無理かも…」

 後ろから聞こえる愛ちゃんの言葉に少し救われてそして打ちのめされた。

「待って!」

 玄関から出て行こうと足を踏み出した俺のシャツを掴むように引き止めた愛ちゃんはそのまま近付いて来ると俺の横に立った。

「ナルちゃんの気持ち知って、今までと同じようになんて無理だよ…他の男の人の相談とか…出来るわけないから」

 あ…そういう意味だったんだ。

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