女々しい俺の恋 【24】

 落ち着け俺、焦るなよ…。

 まだ何の話を聞いたのか確かめてないだろ?

 いつの話なのか、何の話なのか、それを確かめないと…。

「い、いつの事だよ…」

「この前ナルちゃんが女の子と駅に居た日の夜、肉じゃがいっぱい作ったから持って行ったの」

 俺の予想は当たってしまった。

 あの時の話を聞かれてしまったって事は俺の気持ちも知ってしまったんだよね。

「た、立ち聞きなんて良くねぇなぁ…ハハハ」

「ねぇ、ナルちゃんって私の事…」

「お、俺っ…」

 愛ちゃんに核心まで迫られて詰め寄られた俺は立ち上がると床を蹴るようにして玄関へと走った。

「逃げないでっ!」

 玄関で靴に足を入れた瞬間愛ちゃんの叫ぶような声が聞こえて体が動かなくなった。

 静かな部屋で後ろから愛ちゃんが近付いてくるのが分かる。

 俺は息をするのも忘れるくらい緊張してた。

「ナルちゃん…10年も私の事が好きだったって本当なの?」

「………」

「ねぇ…何か言って?」

 今すごい格好悪いよね。

 ずっと好きだったって事も告白なんかじゃなくて話を聞かれてバレちゃってこんな風に問いただされて…。

「ナルちゃん?」

「…うん、ごめん」

 何謝ってんだ俺…もうバレたなら仕方がないじゃん、開き直るしかないじゃん。

「だって…今までそんな事一言も…」

「…うん、ごめんね」

 俺は覚悟を決めて振り向くと複雑な顔をした愛ちゃんと正面から向き合うように立った。
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