女々しい俺の恋 【21】

 愛ちゃんが居なくなった部屋で一人俺はざわつく気持ちを抑えられずにいた。

 やっぱり今日の愛ちゃんは様子がおかしかったじゃないか…そう思えば思う程胸のざわつきは大きくなる。

 俺は結論が出るよりも早く靴を履いて部屋を飛び出しもう見えない愛ちゃんの姿を探しながら走った。

 何で気付かなかった…さっきの愛ちゃんは俺の方を見ないで笑って答えてた。

 必ず顔を見て話す愛ちゃんが背を向けたままだったじゃないか…。

 まだ聞いて欲しい事があったはずだ!

 こんなに必死になって走るのって中学の部活以来か?

 俺って長距離だったし…全力疾走って苦手なんだよな。

 まだ数百メートルしか走ってないのに息が上がり肺が悲鳴を上げそうになっている。

「はぁっ、はぁっ…」

 どれだけ走ってもまだ愛ちゃんの姿は見当たらない。

 もしかしてアパートに帰ったんじゃなくてあの男の所へ向ってるとか?

 それでも俺は愛ちゃんのアパートに向って必死に走った。

 もうすぐ愛ちゃんのアパートという所で視界にさっき見たばかりの後ろ姿が飛び込んで来ると限界かと思ってた俺の足は一段と早く動いた。

「愛ちゃんっ!!」

 はっきりと愛ちゃんの姿が見える位置まで近付くと俺は今出せる精一杯の声を出した。

 その声に弾かれるように愛ちゃんは振り向いてくれて俺はスピードを緩める事なく愛ちゃんの前まで走って行った。

「ナルちゃん?」

 膝に手を付いて何度も大きく息をしている俺を愛ちゃんは何も言わずにジッと待ってくれている。

 話が出来るくらいまで息が落ち着いた頃ようやく俺は顔を上げると思わず息を飲んだ。

「愛ちゃん…?どうしたの?」

 愛ちゃんの目は泣いた後のように赤くなっている。

「ナ、ナルちゃんこそ…そんなに走って来てどうしたの?」

「お、俺は…」
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