女々しい俺の恋 【4】
何とか自分の気持ちも体も静めようと反対側の手で思いっきり太ももを抓った。
でも愛ちゃんの口から出た言葉に俺は太ももの痛さよりも確実に体の熱が冷めていくのが分かった。
「今度先輩が泊まりにおいでって…初めてだし…ドキドキしちゃって…」
頬を染めて恥ずかしそうに打ち明けたその姿は俺の為ではなく1コ上の先輩で…彼氏の為だった。
「よ、良かったじゃん…」
俺は愛ちゃんから離れてフェンスに手を掛けると校庭を見るフリをして俯いた。
男なのに…こんな事で涙が出そうになっている自分が情けない。
フェンスを握る手が微かに震えている。
情けない俺の事に気付く様子もない愛ちゃんは打ち明けてすっきりした様子で手を胸の前で合わせながらまるでダンスでもしているようにクルクルと回っている。
「はぁ…」
「ねっねっ、先輩ってどんな下着が好きかな?」
軽い足取りで俺の側に近寄った愛ちゃんの言葉は無神経にも程がある。
そんな男の下着の好みなんか知るかむしろ知りたくもない。
「さぁ…どうなんだろうね」
本心を言えない分返す言葉は冷たく聞こえているかもしれない。
「ナルちゃん…」
さすがにその事には気付いたのか愛ちゃんの声のトーンが下がった。
「もしかして私の方が早いから拗ねてるの?」
「はぁ!?」
見当違いも甚だしい…。
どうしたらそういう発想になる。
「そんなんじゃねぇって。男ならどんなんでも彼女が着てるなら嬉しいんじゃねぇの?」
「そっかぁ!!」
手をパチンと合わせて飛び跳ねるとそれに合わせてオレンジ色のマフラーが揺れた。
去年買い物に付き合わされた時に俺が選んであげた物だった。
今年もしてくれるんだね…そんな些細な事でも俺は心が震える程嬉しいのに。
ねぇ愛ちゃんは気付かないの?
俺精一杯強がっていつもと違う話し方してるんだよ。
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