『番外編』
ネコミミver.black【10】
いつもならここで絶頂を導くように貴俊の舌が動くはずだったのに、急に祐二は快感の渦から放り出された。
寸でのところで熱を失った祐二は戻って来た貴俊の顔を見る。
何か言いたそうな顔の祐二に貴俊は微笑むと唇が触れそうなほど顔を近づけて告白する。
「ごめん、俺我慢出来ない」
貴俊らしくないセリフに祐二が息を呑んだ。
切羽詰ったように取り出したジェルを後孔に塗りつけ、指を押し込んだ。
「あああっ!」
「もっと鳴いて? 可愛い子猫ちゃん……」
「そ、そこっ……出るっ……」
気持ちいい場所を執拗に指先で弄られてあっという間に絶頂を迎えた。
それでも責める指の動きは止まらずに深いキスの舌の動きのように中を掻き回す。
「た、貴……っ、ふぅぅっ、んっ……」
しがみつくだけで精一杯の祐二は貴俊の肩口に顔を埋め声を上げる。
「少しだけ手を緩めて?」
身動きが取れなくなった貴俊が祐二の頭を撫でながら囁く。
肩で息をしながら手を離した祐二の瞳には涙を浮べている。
「いい子だね。すぐにご褒美あげるよ」
髪を撫でられてその手の優しさにうっとりと目を閉じた祐二は、すぐに重なるように覆い被さった貴俊の体に反応する。
抱き合いながらキスを交わし祐二は膝を起こすように足を開いた。
「うぅっ……」
「上手だよ。全部咥えられるよね」
時々慣らすように揺すりながらもゆっくりと貴俊の昂りは祐二の胎内へと呑みこまれていく。
苦しそうに眉間に皺を寄せる祐二から拒絶の言葉はなかった。
「ね……ご主人様って呼んで?」
「よ、呼べるかっ!」
さすがに我に返った祐二が声を荒げたがすぐに甘えた喘ぎ声を上げる。
ゆっくりと始まった抽送に交わった部分が、クチュクチュと音を立てると肌を粟立たせた。
「じゃあ好きって言って?」
「す、好きっ……」
数少ない素直になる瞬間。
貴俊の愛を全身で受け止めながらいつも心に秘めている想いを言葉にすると貴俊の体は熱くなり言葉にならない想いをぶつけるように激しく腰を叩きつけた。
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