『番外編』
ネコミミver.black【8】

「だから可愛がって? ご主人様」

「そ、そんな言い方すんなっ!」

「祐二がご主人様がいいって言ったんだよ」

「わ、分かってるよっ!」

「俺がしてるみたいに口でして、最後は飲んでね? 後片付けも出来ない無責任なご主人様はダメだよ」

 貴俊の声はまるで媚薬のように甘く祐二の体へと入っていく。

 顎に添えられていた指が促すように顎下をくすぐったかと思うと顎を掴んで股間へと引き寄せる。

 近付くにつれて祐二の顔が強張っていく。

 どんなに悔しくても自分との大きさの差が歴然のソレを鼻先に突きつけられた祐二は口の中に溜まった唾を一気に飲み込んだ。

「ほら……早く」

 貴俊の手が弱くとだが祐二の後頭部を抑える。

 そんなに力を入れてないはずなのにグンッと距離が縮まり、祐二は慌てて体を強張らせた。

(な、舐めるくらいなら……)

 それなら前に一度だけやったことがあるのを思い出した祐二は唇から舌先を出して近づける。

「ちゃんと根元まで咥え込むんだよ。ここみたいに上手にね」

 あと少しで触れるというところで頭上から降ってきた貴俊の言葉に祐二の動きが止まった。

 まるで心を読まれていたかのような指摘に胸がドクンドクンと大きな音を立てて動き始めたが、すぐにそんなことを気にする余裕はなくなってしまった。

「ん、んんっ……」

 ぴったりと密着している肌と布団の隙間を割るように入り込んできた貴俊の指がまだきつい窄まりの入り口を突付き始めた。

 まるで鳥がノックするように軽く突付いているだけなのに祐二は体を震わせる。
 
「…………い」

 泣き出してしまうんじゃないかと思うほど細い声で祐二が呟いた。

 その声はあまりにも小さくて貴俊にも聞き取ることが出来ず、俯いている祐二の顔を上に向かせた。

「どうしたの?」

「た、貴俊……」

 顔を上げた祐二の瞳と視線が合った貴俊は体中の血が沸くのを感じた。

 困っているのに悔しくて今にも泣き出しそうな色んな感情が交じった瞳が真っ直ぐ縋るように貴俊だけを見つめている。

 何が言いたいのか貴俊には分かっている。

 最初からこうなることも分かっていた。

「祐二、やっぱり俺が可愛がりたい」

 どんなにいじめても、いじめても、最後に縋ってくるのは自分であって欲しい。

 その時は何も考えずただ甘やかして、甘やかして、持てるすべてで可愛がってあげたい。

 そんな貴俊の企みが成就する瞬間。

「だから俺のペットになって?」

 言葉もなく祐二の頭がゆっくりと頷いた。

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