『番外編』
2011☆SUMMER41

 最初の乱暴なキスとは違いとても優しく唇が重なり、何度も啄ばむように唇を合わせながら、滑り込んできた舌が官能的に絡め取ろうとする。

 甘く蕩けそうなキスをされながら髪を撫でられて、唇が離れる頃には自分で立っていられないほど感じてしまっていた。

「和真……」

 力の入らない身体で和真に寄りかかり、かのこは和真の逞しい胸に頬を寄せた。

(やっぱり……優しい)

 どんなに意地悪をされても、嫌いになるわけがないのは、こんな顔を見せてくれること知っているからだし、初めの頃に比べたら意地悪にもそれほど抵抗がなくなって来ているのも事実だったりする。

(それって変なのかな……、何か普通じゃないような気がするけど、こういうことって友達とかにも聞きずらいし……)

「ベッド、行くか?」

 キスの余韻に浸っていたかのこは、低く甘い声を直接耳に囁かれ、まるで魔法にでも掛かったように陶然とした顔で頷いた。

 肩を抱かれたまま寝室へ向かい、片手でドアを開けた和真は電気を点けると、部屋の中央まで進んで足を止めた。

 広い部屋に負けないくらい大きなベッドの前にかのこは立たされると、和真は「待ってろ」と言ってから少し離れて、何かを手に戻って来た。

 かのこは和真が手にしているピンクの物を見て顔を強張らせた。

「そ、それ……っ」

「好きだろ?」

「す、好きじゃないですっ!」

「足、開け」

(もう、またそんなの……あんな訳分かんなくなっちゃうくらい感じちゃうのは、もう……)

「や……です」

 以前のことを思い出して、体の奥が熱く震えてしまうのを感じても、首を横に振って後ずさった。

「何度も言わせるな。開け」

 聞く耳を持たないという態度のまま、かのこが後ずさった分だけ、和真はその間を詰めてかのこのを見下ろした。

(嫌なのに……)

 かのこは素直に従ってしまいそうな自分に戸惑ってしまう。

 多くの時間を上司と部下として過ごしているからなのか、和真に命令をされると頭で考えるよりも身体が先に応えるようになった。

(で、でも……あんなのもう出来るわけないし)

 ここは頑として抵抗しようと心に決めたところに、和真は手の中で卵型のピンクの物を弄びにながら言った。

「お前が開かないなら、俺が二度と閉じれないようにする、って手もあるけどな」

 無理矢理開くではなく、二度と閉じられないって言葉に、一体何をするつもりなのか、聞きたいけれど聞いてはいけないような気がして、喉元まで出掛けた言葉を飲み込んだ。

(だからって……和真の言う通りにしちゃったら……)

「どうするんだ、かのこ」

 どっちでもいいんだぞ、と笑う和真はあくまでも優位に立場にあって、二者択一を迫られているかのこはもう逃げ場がなかった。

(どっちかしか選べないのなら……)

 ここでどっちも嫌だと言えないことに、何の疑問を持たないかのこは、どちらかといえばマシだろうという方を選んだ。

 肩幅まで足を開けば、和真の手は遠慮も無くスカートの中へと入って来た。

 何の躊躇もなく下着の奥へと指を入れられ、かのこは羞恥で顔を俯かせたが、正直な身体を隠すことは出来なかった。

「なんだ、濡らしてるのか」

 指先で熱くなり始めた入口をなぞられ、せり上がってくる快感に、自然と太ももに力が入ってしまう。

「し、知らな……」

「まあ、いい。少しくらい濡れてた方が入れやすいからな」

 そんなことを言いながら、人肌とは温度も質感も違うものが、ゆっくりと体内に埋め込まれていく。

「や、あ……」

 入って来た瞬間、冷たさに全身が粟立ったのは一瞬で、すぐに熱が伝わって残ったのは異物感だけになった。

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