『番外編』
ネコミミver.white【3】
陸は首を傾げながら猫耳を指で摘まんで引っ張り上げる。
「い、痛っ……」
「え? えぇぇっ!!!」
麻衣の声に陸は手を離して飛び退いた。
陸は耳を摘まんでいた手と麻衣の耳を何度も何度も見比べる。
エッチを阻止しようと麻衣がからかおうとしているだけだと思った。
だが陸の目の前で白い猫耳がまるで生きているようにピクピク動いている。
「ま、麻衣……?」
「陸……どうしよう……」
麻衣が困った顔をすると白い猫耳はまるでその感情を表すようにペタンと伏せてしまった。
(よ、よく分かんないけど……可愛いっ!)
困惑する麻衣とは違い陸はすぐにこの状況を受け入れた。
裸の麻衣はベッドの上にちょこんと座りしきりに頭の耳を気にしている。
その姿はまるで猫そのもの。
「麻衣……ジッとしてね」
今度は注意深く猫耳に触れる。
さっきまでの起毛の感触は変わらないが何となく温かく感じのは気のせいかもしれない。
だが陸は猫にするように耳をくすぐるように撫でた。
「んっ……やっ……」
くすぐったそうに身を捩りながら麻衣が甘い声を漏らすと耳が反応するようにピクピクと動く。
(やばっ……なんだこれっ)
あまりの可愛さに声を上げそうになった陸は慌てて自分の口を押さえる。
「ねぇ……陸ぅ……ただのカチューシャじゃなかったのぉ?」
「さぁ……俺が用意したわけじゃないから。でも、折角だし……楽しも?」
泣き出しそうな麻衣を宥めるように頬にキスをする。
(この状況を逃してたまるか……)
こんな本音を麻衣に聞かれたら寝室から締め出されることが確実なだけに表情だけは崩さない。
何度も優しいキスを頬や瞼や鼻先に落としながら落ち着かせるように髪を撫で麻衣の体をベッドに横たわらせる。
「でも、もしこのままだったら……」
「大丈夫。どんな麻衣でも俺は大好きだから」
不安そうな麻衣に微笑むと陸はゆっくりと唇を重ねる。
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