『番外編』
Another one63

「待ちきれない、って顔してる」

 指摘されたとおり、陸が準備をするその短い時間さえももどかしかった。

 返事に迷う間もなく、陸の手に片足を抱えられた。

「待ちきれないのは俺の方だっての。余裕がなさすぎて、かっこ悪いってのは分かってんだけどさ」

 今までのように根を上げるほどまで解されていない場所に陸の猛々しいものが押し当てられる。

 たったそれだけのことで、息が詰まりそうなほど苦しくなってしまう。

「入りたくて堪んない」

 余裕のない陸の声、荒い息づかいと一緒に、圧倒的な質量のものが押し込まれた。

 迷うことなく一気に押し入ってくる陸の動きは珍しく乱暴だった。

「う……っ」

(うそ!? こんなに苦しかったっけ?)

 身体の中心を穿つ痛みに思わず声を上げる。

 忘れてしまったわけじゃないけれど、久しぶりに受け入れた陸は、記憶の中にある陸とは少しどころかかなり違っていた。

「痛い?」

 ぴたりと動きを止めた陸に、心配そうな顔をされて覗き込まれて首を横に振った。

 本当は痛い、痛いけれど、それを耐えてでも今は陸が欲しい。

 麻衣は手を伸ばすと少し汗ばんでいる陸の首筋に手を回した。

 引き寄せるようにして身体が重ねて、重みと体温の心地良さに、痛みで強張った身体から力を抜く。

「久しぶりだから、少し驚いただけ。だって、陸の、すごく……」

 半分ほど埋まった陸がさらに大きくなった。

「り……陸っ」

「今のは麻衣が悪い。一年も女抱かなかったなんて初めてなんだよ。暴発しそうだってのに、煽っちゃだめ」

「煽ってなんかないよ。あ……んっ、まだ動かないで……」

「ごめん。それは俺がヤバイ。ちょっとこれは生殺しなんだけど」

 今度はゆっくりとした抽挿を繰り返し、それでも確実に奥へと入って来た。

 苦しそうに息を吐きながらも時間を掛けてくれた陸と、さらに奥から溢れた蜜のおかげで、痛みはすぐに取り除かれた。

 押し広げるような苦しさも、胸の先端に触れる陸の指先によって、少しずつ快感へと変わっていく。

「陸、陸……っ」

 名前を呼んで、身体にしがみつく。

 ソファベッドが大きく軋む音を立てているのも構わず、麻衣は足を陸の腰に摺り寄せてねだった。

「もっと、して……っ」

「あー……くそっ!!」

 舌打ちの後に、ベッドに押さえつけられるように肩を強く掴まれたかと思うと、繋がっている部分がさらに深くなる。

「う……、く……っ」

 身体を震わせた陸が、身体の中で大きく脈打つのが分かった。

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