『番外編』
温もり【1】

 ふと目が覚めて携帯に手を伸ばした。

 ――3:18

 起きるには早すぎる。

 携帯の液晶画面の明るさに思わず目を細めながら時刻を確認して小さくため息をついた。

 寝直そうとしたけれどすっかり目が冴えてしまった。

 起こさないように気をつけながらベッドから出ると隣で眠る陸の身体にタオルケットを掛けて寝室を後にした。

 リビングの窓を開けてベランダへ出ると外はもうすっかり秋の風が吹き私の頬を撫でた。

 ここへ越して来てから半年以上が経ち今では陸が隣に居ると安心して眠れるようになった。

 最初の頃はなかなか眠れなかった日々が続いた。

 それでも陸はいつもそばにいてくれた。

 そんな事を思いながら私は初めて陸の部屋に泊まった日のことを思い出した。

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