『番外編』
内緒の二時間【7】

「もう……無理……ッ、出来な……っん」

 ここに入ってからどのくらいの時間が経っているのか分らない。

 この後にバーベキューがあると和真の言葉で思い出されてから何分経ったのかもわかない。

 許してくれない和真を達かせようといくら私が頑張っても和真は息も乱してくれない、それとは逆に私の体は熱くなるばかりで動きもますます緩慢になっている。

「和真……ぁ、もぅ……っ……んぅ……ぅぅっ」

「どうした?」

「早……っく……」

「ほら……出さないと終わらないだろ? もっと腰振れよ」

 余裕のある声で言われ腰が揺らされる。

「もっ、無理ぃ……出来ない……よぉっ。ズズッ、ズッ……グスッ」

「泣くやつがあるか」

 溢れ出てしまった涙に和真の呆れた声がして胸が締め付けられる。

 やっぱり私じゃダメだって思われしまったのかもしれない、でも頑張っても出来なくてこのままだとバーベキューにも遅れちゃうかもしれなくて……。

 どうしていいのか分からず止まらない涙、拭うことも出来ずに顔をシーツに押し付けたまま嗚咽を漏らしていると無理矢理体の向きを変えられた。

 繋がったまま仰向けにされると涙で滲む視界に和真の顔が現れる。

「か、か和……ッ、ごめ……ごめっ……」

「仕方のないやつだな。何をそんなに泣く?」

「だっ……て、私じゃ……和真のこと気持ちっ……よっ、く……出来っ……な……」

 出来ない悲しさと嫌われたくない怖さと会社のみんなへの申し訳なさに涙が止まらない。

 しゃくり上げながら言葉を続ける私に和真の顔が近付いた。

「ホントにお前は……可愛い奴だな」

 言われている意味が分からなかったけれど乱れた髪を手で整えられて額にキスをされ、嫌われてないことだけは分かってホッとした私は和真に手を伸ばしてしがみついた。

 すごく大好きで本当に大好きで……。

 恥ずかしいことをいっぱいされても大好きで、優しくないところもたまに優しいところももっと一人占めしてしまいたい。

 そんなこと言ったら和真に笑われてしまいそうで言えないけど、そんな思いを込めて和真の首に手を巻き付けてギュッと引き寄せた。

「俺以外にそんな可愛いことするなよ」

「し、しない……私には和真だけ、なのに……」

 思いきってそう言うと和真が小さく「そうか」と言って笑ったような気がした。

 その後のことはよく覚えていない。

 ただまるで嵐のような激しい愛撫に泣いて、突き上げられる激しさに声が出なくなるほど喘いだ。

 気が付いた時には抱えられてシャワーを浴びている最中で、口を動かしても掠れた空気しか出て来ない私を和真が愉しげに笑っていた。

 優しい手付きで髪を乾かしてくれて部屋を出る前に蕩けそうなキスをしてくれた。

 再び車に戻ってボンヤリとナビに表示された時間を見た私はあんなに長く感じた出来事がたったの二時間しか経っていないことに驚いた。


end

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