『番外編』
内緒の二時間【5】
どうしてこんなに気持ち良くなっちゃうんだろう。
もう手にも膝にも力が入らなくなっている。
私は和真のものに手を添えたまま、次々と襲ってくる快感をうつ伏せになったまま耐えるしか出来ない。
「それ……やぁ……っ」
「こんなに濡らして嫌なわけあるかよ」
ますます大きくなる水音に少しずつ恥ずかしさもボンヤリとしたものになっていく。
私の目には何をされているのか見えないのに、敏感な部分が今は和真の指に摘まれて爪で刺激を与えられていることを教えてくれる。
「んぁ……あぁぁっん……和真、和真ぁ……」
「腰上げろ」
「……は、い」
命令される低い声にすらゾクゾクしてしまう。
その格好がすごく恥ずかしいことだって分かっているけれど、この後に与えられる快感を知っている体はそれを拒むつもりはまったくない。
力の入らなくなった膝に力を入れてゆっくり腰を持ち上げた。
「いい子、だ」
たった一言なのに嬉しくなった。
髪を撫でられて体の下から和真が離れていく、ギシギシと安っぽいスプリングの音とガサガサと耳障りなシーツの音を聞きながら和真が再び私の体に触れてくれるのを待つ。
私……ほんとにエッチになっちゃった。
恥ずかしい格好は後ろにいる和真から自分でも見たことのない場所がハッキリ見えているはず、そう思うと自然と体は熱くなり鼓動は激しさを増してしまう。
――見られて感じるなんて恥ずかしい奴だな。
そんな言葉で責められたことを思い出すと意図せず体の奥がヒクッと震えた。
「待ち切れないか?」
「か……ずまぁ……」
「今日はどうした? えらく可愛いな……ご褒美やるよ」
待ち切れなくなった体を持て余していた私はシーツに顔を埋めたままその時を待った。
腰に手を添えられて左右に開かれる瞬間には思わず息が止まる、熱く火照った場所が空気に晒されるとさらに体の奥に火がついたように熱くなった。
「ひ……ひゃぁっ!!」
私の口から出て来た変な声に和真に小さく笑われた。
てっきり激しく貫かれると思っていた場所は温かく柔らかいものが這っている。
「あ、あぁぁぁ……」
「どれだけ濡らしてる?」
「う……うぅっ……ん。それ……ダメダメぇ……そんなとこに舌入れちゃだめぇ……」
指の刺激よりは快感は少ないのに羞恥が大きすぎる。
何度されても慣れない行為に目から涙が溢れシーツを濡らしていく、止めて欲しいと頼んでも柔らかい舌は私の中に入り込んで内壁を舐めた。
「あぅ……っ、んーーっ」
器用な舌が一番敏感な蕾に巻き付くように触れ四肢が強張った。
あぁ……どうしよう……変、になっちゃう……。
与えられる快感に頭の中はモヤがかかったように霞んでいる、もう何も考えられなくなってただ和真の舌や指が動くたびに声を上げることしか出来ない。
「か……ずま、和真……ッ。もう……もう……私っ、もう……んっ」
「欲しいか?」
「…………」
「欲しいか?」
「……ほ、しい……ンッ。もう……おかしくな……っ」
恥ずかしいおねだりさえも口に出来てしまう。
和真はいつだって私の理性の箱を簡単に壊してしまう、それを私はいつの間にか悦びと感じるようになってしまっている。
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