『番外編』
内緒の二時間【3】

 ここは覚悟を決めてと私は唾を飲み込んで、それから手を伸ばして下着のゴムに手を掛けた。

 もう後戻りは出来ない……けど恥ずかしい。

 直視することは出来ずに目を伏せながら下着を下ろしていると引っ掛かりのような手応えみたいなものを感じた。

 何だろうと目を開た私は咄嗟に声を上げて目を逸らしてしまった。

「おいおい、それはないだろ?」

 私の態度を見て和真が可笑しそうに笑うけれど、私はそれどころじゃなくて中途半端に下着に手を掛けたまま動けなくなってしまった。

 どうしよう……アレどうしたらいいの?

 既に膨らんでいる和真のアレが下着のゴムに引っ掛かっていることにどう対応していいのか分らない。

 無理矢理引き下ろす?

 そんなことしたらデリケートな所だけに痛いかもしれない。

 ソッと取り出す?

 下着の中に手を入れて……って無理無理!

「ったく……」

 軽くため息を吐かれてしまったけれど私にはまだハードルが高すぎますと心の中で頭を下げるしか出来ない。

 もうこの辺で許して貰おうと思った私の手に和真の手が重なった。

 それはほんの一瞬の出来事だった。

 手が重なったと思って顔を上げたらグイッと力が入れられて私の意思とは関係なく手が下げられた。

「アッ!」

 小さな手応えを感じながら下ろされた下着、そしての目の前には大きくなった和真のアレが飛び込んで来た。

 初めて見たわけじゃないけれどこんな風にまだ何も始っていないのに見るのは少し違う。

「かのこ」

 互いに裸で向き合ったまま和真に名前を呼ばれ、伸ばされた手が頬を撫でて顎に触れて上を向かされた。

 和真は初めて付き合った彼氏で私の初めてを全部あげた相手で……唯一私の体を全部を知ってる人。

 和真以外は知らないし自分が女の子としてエッチが上手なのか下手なのか和真を満足させられているのかなんて分からない。

 でも今の和真が私に求めてることだけは分かる。

 見つめ合ったままの和真が腰を下ろし胡坐を掻いて座り私は促されるままに顔を近付けた。

 エッチをする時にこういうことをするってことくらいは知っているけれどまだ数回しかしたことのない私にとってはとても勇気のいる行為でしかない。

 体を倒して和真に触れながら思い切って舌を伸ばし先っぽを舐めた。

「……ッ」

 和真が小さく息を吐くのを聞いて、前に教えられた通り何度か先っぽを舐めてから少しずつ下へとおりる。

 少しずつ大きく硬くなっていくのが分かり、私のつたない愛撫でも感じてくれるのが嬉しくなった。

 まるでご褒美のように和真の大きな手が髪を撫でてくれるのが嬉しい。

 もっと気持ち良くなって欲しくて下から舐め上げるように何度も舌を往復させて、再び舌先が先端に触れると苦い味がした。

「この前教えただろ? この後はどうするのか覚えてるか?」

 あんなに淫らな勉強を忘れるはずがない。

 私は黙って頷くと口を開けた。

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