『番外編』
内緒の二時間【2】
和真の手であっという間に裸にされてしまったのに私は和真が服を脱ぐのをボンヤリしながら眺めている。
そういえばいつもは気が付いたら裸になっていることに気が付いた。
こんな風に和真が服を脱ぐところを見るのが珍しくて、ジロジロ見ていると視線に気付いた和真が私を見て小さく笑った。
「手伝うか?」
「へ?」
シャツを脱ぐと細いのに鍛えられた上半身が露わになり、ジーンズに手を掛けていた和真が楽しそうに声を掛けて来た。
手伝うと言われて意味が分からなかったのはほんの一瞬ですぐに言われている意味が分かったけれど何て言っていいのか分らない。
「お前が脱がせて」
そんなこと言われても困る……そう思ってるはずなのに私の胸はドキドキと高鳴ってしまう。
ここがいつもの場所じゃないせい?
それとも和真の意外なセリフのせいなの?
膝立ちしている和真の元へと近付いて恐る恐る手を伸ばした。
どうしよう……ちょっと手が震えてる。
「どうした?」
緊張しているせいか上手くボタンを外せない私に笑いを含んだ声が降って来る。
私だっていつも和真に脱がされているんだし、これくらいどうってことないんだからパパッと脱がしちゃえば……。
やだ……脱がしちゃえばなんて私がすごい、その……せっかちみたい?
「かのこ、早くしろ」
「あ……う、うん」
急かされて私は指先に力を入れると今度は簡単にボタンは外れた、それからジッパーに手を伸ばしてゆっくり引き下ろして私は手を止めた。
この先って……どうするの?
脱がせるってことは裸にするってことで、ってことはこのジーンズも脱がせてその下も?
ジーンズが開かれた隙間から黒い布地が見えるとハッと息を詰めた。
「それじゃあ脱がせたうちに入らないだろ」
そう言われて顔を上げると和真の唇の端がニヤッとした。
まるで私の頭の中を読まれているんじゃないかと思ってしまう。
「自分だけが裸でいたいのなら、俺はこのままでも構わないが?」
その言葉に自分が裸だったことを思い出してカァッと頬が熱くなるを感じた。
モタモタしていたらいつまでも自分だけが裸でいなくちゃいけない、そう思うと私は不思議とすぐに覚悟が決まり思い切ってジーンズを下ろした。
和真に手伝ってもらいながらジーンズを足から抜き取ると残るは一枚。
躊躇すればするほど和真に愉しげな視線を送られることは分かっているけれどわずかに前の膨らんでいる下着に手を伸ばすには勇気がいった。
そんな私の気持ちを知ってか知らずかさっきから一言も喋らない。
だからといって「下着も脱がすの?」とか「下着は自分で脱いで?」なんて自分から和真に言うなんて勇気はこれっぽちもない。
それに……言ったところでコンマ数秒で却下されるのは目に見えている。
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