『番外編』
内緒の二時間【1】

 永遠に続くのかと思うほど長く、そして頭の芯が蕩けるほど深いキス。

 唇が離れてボンヤリする頭に酸素を取り込もうと大きく息を吸い込むと再び唇が重なった。

「ふぅ……っ、んぅ……」

 今日の和真……いつもと違う……。

 どんな時でも和真のキスには翻弄されてしまうけれど、いつになく荒々しいと思ったら急に優しく触れるだけのキスをされる。

 唇を受け止めながら触れられる和真の手はいつもより熱く感じられた。

「か……っ、んぅ……」

「舌を出せ」

 息苦しさにたまらず和真の胸を押し返したものの、直ぐにその手は和真に掴まえられて両手を一括りにされて頭の上で押さえ付けられた。

 空いている手で顎を掴まれ囁かれる。

 その声に目を開けると熱のこもった瞳にすぐ捕まった。

 頭の中では「どうして?」なんて考えているのに私の体は開かれたままの唇から舌を少し伸ばしていた。

「もっと口を開け」

 自分から深いキスを求めるようで恥ずかしい。

 躊躇していると顎を掴んでいる和真の手にわずかに力が込められて、私の口は強制的に開かされる痛みに思わず目を閉じるとすぐに手が離れた。

「かのこ……焦らすなよ」

 そう言われてようやく気が付いた。

 いつも余裕たっぷりの和真の息が少しだけ荒い、いつも焦らすように触れる指先が忙しなく動いている。

「ん……」

 そんな風に求められていると分かったせいか自然と体が熱くなり私は口を開き舌を伸ばした。

 乱暴に重ねられた唇の中に強く吸い込まれた舌は熱い舌になぞられ巻き付けられる。

 二人の舌が動くたびにピチャピチャと恥ずかしくなるような音を立てる、いつもはすごく恥ずかしいのに私は和真の頭を引き寄せながら夢中で舌を伸ばした。

 伸ばした舌が和真に掴まえられたまま今度は私の中に入ってくる。

 一緒に流れ込んで来る唾液を飲み下せず唇の端から伝うのも気にせず、和真の愛撫を思い出しながら唇で和真の舌を挟むとゆっくりと顔を前後に動かした。

 どうしよう……こんなエッチなことして呆られないかな……。

 少し不安になって薄っすら目を開けるとずっと私を見ていたのか和真と目が合って、それから気のせいかもしれないけど少しだけ微笑んでいるように見えた。

「どうした? 可愛いことして……我慢出来ないか?」

 ゆっくり離れた和真が唇の端で笑い掛ける。

「そ……じゃな……」

「言えよ。もっと気持ち良くなりたくないんだろ?」

 指摘されたことが恥ずかしくて誤魔化そうとしても無駄だった。

 不敵に笑う和真は私の唇の端を親指で拭いながら耳元で低く囁き、いつの間にか脱がされていたワンピースが足の方から一気に抜き取られた。

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