『番外編』
やっぱラブもしたいでしょ【3】

 そいえば麻衣と付き合うようになってから触れるだけのキスがこんなにも幸せだと気付かされた。

 柔らかい唇は俺を待っていたみたいに、薄く開いていて触れあうたびにチュッチュッと可愛い音がする。

 暴走しそうになる自分をいつまで抑えられていられるだろうと、そんなことを考えながら柔らかいタオル地を撫でるように手を滑らせた。

 行き着いた先は二つの膨らみ、両手で揉みながらワンピースの裾をたくし上げる頃には重ねられた唇からは淫らな水音がしていた。

「麻衣……シャワー浴びたの?」

 体からボディソープの香りがして、キスの合間に尋ねると麻衣は小さく頷いた。

 髪からも洗い立てのシャンプーの香りがする。

 いつもなら夕飯の後片付けをした後でゆっくり風呂に入るのに今日に限ってと、その理由は何だろうと深く考えるまでもなくてそれを麻衣の口から聞きたくなった。

「ね……どうして?」

「だっ……て」

 深くなったキスのせいで息の荒くなった麻衣が喘ぐように呟く。

「教えて?」

「汗いっぱい掻いたから……」

 そう言って黙り込んでしまう麻衣の唇を下から掬い上げるように重ねて、下唇を軽く食んでから舌を差込んで熱くなった麻衣の舌を絡め取った。

 クチュクチュと濡れた音を立てて離れると麻衣の濡れた唇からは吐息が零れた。

「期待、してたの?」

 きっと本人の口からは言い出さないだろうとつい助け船を出してしまう。

 その間も俺の手は柔らかい双丘を撫で、手に触れるのはタオル地よりももっと薄いものに変わっている。

「だって……汗掻いたから……」

 さっきと同じ返事が返って来ても、少し声のニュアンスが違う。

 体も麻衣の手は俺の背中にしがみつくようにシャツを掴み、ほんのわずかだか腰が揺れて身体を押し付けている。

(ちょっと……もうアレかも、自分が焦らされてるみたいだ)

 さっきからズボンの中が苦しくなっている、たまにはゆっくり始めるのもいいかもしれないと我慢していたけれどどうやらそうも言ってられなくなってきた。

「俺は気にしないのに?」

「私が気になっちゃう……もん」

(か、可愛い……)

 下から上目使いで覗き込まれて胸を押し付けられて、さっきよりも濃くなった甘い香りが俺の中から理性を奪い去っていく。

「んぅっ!」

 なんの前置きもなく乱暴に唇を重ねた。

 戸惑っている麻衣の舌を掴まえて、絡めて巻き付けるだけじゃ物足りなくて強く吸い込んだ。

 自分の中に入って来た麻衣の舌を今度は優しく舌先で愛撫する。

「ふぅ……んっ、待っ……」

 苦しそうに喘ぎながら唇を離した麻衣が俺にストップをかける。

「ダメ、待てない」

 短く返してから再び唇は重なった。

 激しく深く重ねられるキスでシャツを掴んでいる麻衣の手に力が込められるけれど、逆に体からは力が抜けていくみたいに頼りなく俺にもたれてくる。

 感じ始めた麻衣の体が少し汗ばんでいることに、下着の中に差込んだ手の平から伝わって来た。

「足、開いて」

 キスを終えた唇で麻衣の耳たぶを含み舐めながら囁いた。

 かすかに震えたけれど拒むことなく麻衣は足を肩幅くらいまで開いて、俺の胸元に顔を押し付けたまま小さくため息のような喘ぎ声を漏らした。

「感じてる?」

 わざと聞けば麻衣の頭が小さく横に揺れた。

 でも密着する二人の身体の間に手を入れて、柔らかい茂みの奥に指を滑らせると指先がすぐに濡れる。

 中指をそのまま動かすとクチュという音が俺の耳に届いて、もちろん麻衣自身はもっとリアルにそれを感じているはずだ。

「うそつき」

 笑いながら舌で耳の中を舐めると麻衣の口から可愛い声が上った。

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