『番外編』
本当は前からがいいんだけど…以下略【貴俊×祐二】
「う……ぅ……」
「我慢しなくていいんだよ」
「がっ……まん、なんかしてっ…………ねぇっ」
貴俊の言葉に虚ろだった瞳に力が戻る。
抱き合うように体を重ねていた貴俊は体を起こして祐二を見下ろしていた。
もう繋がってからかなりの時間が経つ、けれど貴俊は一向に動こうとせず荒い息をしている祐二を愛おしそうに見つめるだけだった。
「もう限界でしょ?」
二人の身体の間で揺れる祐二の屹立からはとめどなく雫が溢れている。
貴俊は指先をその先端の窪みをなぞった。
「うぅっん! ヤッ……貴俊ッ……」
「イキたいなら自分でしていいって言ってるのに」
また同じことを言われた祐二は乱暴に頭を横に振った。
軽く触れられただけで爆発してしまいそうなほど昂っているのに、先端を弄っていた貴俊の指は無情にもその熱を煽っただけでスッと引いた。
物足りなさからか祐二の腰が揺れる。
「動くな……ッ」
「動いてるのは祐二だよ。自分でするのが嫌ならお願いして? 何度でも俺が達かせてあげるから」
甘く囁かれて祐二の瞳が揺れた。
生殺しの状態がずっと続いていて限界だった、早く楽になりたいけれど貴俊の目の前で自慰をして見せるのはどうしても頷けない。
かといって貴俊に簡単にねだることが出来ないのは変に邪魔するプライドのせい。
だがそれさえもどうでもいいと思えるほど身体は限界まで来ている祐二は涙を浮かべた愛らしい猫目で貴俊を見上げた。
「祐……二」
その色っぽさに貴俊は理性が吹っ飛びそうなほどの強い眩暈を感じた。
意識せずとも質量の増えたそれが祐二の内を圧迫すると、半開きの祐二の唇からは甘えた吐息が零れ貴俊への言葉が続く。
「も……っ、達か……せて」
「俺の手で扱いて欲しいの?」
「して……欲しい」
「それじゃあ……身体の向き変えようか」
「…………ッ」
祐二が身体を強張らせ少しだけ悔しそうに唇を噛む、貴俊は締め付けたキツクなり顔を顰めたが祐二の細い腰に手を添えて微笑んだ。
身体を繋げるようになってからさらに祐二の可愛さに気付いた貴俊。
普段は強気な彼が恥ずかしさと気持ちよさで瞳に涙を浮かべ、自分に身体を預けしがみついてくる姿を見るたびに心の奥が燃え上がりそうなほど震える。
だから恥ずかしさに耐えながら快感に呑まれてしまう祐二の顔を見たい、そして何よりも自分の手で身体で祐二の心も身体も快感で蕩けさせてしまいたい。
その二つの欲望を叶える体位は祐二が一番嫌いな体位。
「祐二……そんなに締めたら動けないよ」
「う、うるさいっ!」
狭いベッドに横向きになった祐二の背中にぴったりと寄り添う貴俊が耳元で囁く。
少し動きにくいけれど小柄な祐二が自分の中にすっぽり収まり、手も自由に動くから愛撫も出来るうえ祐二が弱い耳に舌を這わせながらその表情を楽しむことが出来る。
「グッ……グリグリ動かすっ…………なっ!!」
貴俊が身体の位置を変えようと腰を浮かした途端、泣きそうな悲鳴にも近い声で祐二が叫んだ。
だが貴俊は収まりのいい位置に落ち着くまではとその言葉を聞き流した。
「ホッ……ン……ヤメッ…………アァァッ!!」
「祐二?」
祐二が身体を震わせながら情けない声を上げた。
何が起こったのか分からなかった貴俊も指に掛かった大量の白濁にすぐに理解した。
「まだ触ってないのに、達っちゃったの?」
「…………だから、止めろって」
消え入りそうな祐二の小さな声。
あれほど触れて欲しかった自身は触れられる前に内から刺激されると堪える間もなく暴発した。
恥ずかしくて逃げ出したい祐二だったが後ろから抱きしめられるこの体勢ではそれも叶わず恥ずかしさで泣いてしまいそうになるのを我慢するためにキツク瞼を閉じる。
「ごめんね。次はちゃんと達かせてあげる」
貴俊は祐二の出した物を手の平に取りそのまま硬さを失っていないそれを包み込んだ。
ゆっくりとした動きだが腰と手が息を合わせたように動き始める。
引いてしまった熱を再び呼び戻され、それはさらに強い熱となり祐二を翻弄した。
「貴俊、貴俊……貴俊っ……」
「祐二、こっち見て?」
うわごとのように名を呼ぶ祐二に声を掛け、振り返った祐二にキスをすると熱い舌が貴俊を待ちわびていたように差し出される。
貴俊の腕の中で鋭い牙と爪を失い可愛い仔猫となった祐二は甘い声で鳴き続けた。
end
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