『番外編』
本当は前からがいいんだけど…以下略【陸×麻衣】

「んっ、はぁっ……やぁっ……」

「かわいい……もうちょっと腰、あげて?」

 乱れたシーツの海、その激しい航海の舵を握る。

 鍛えられた細身の身体を惜しげもなく晒し汗ばむ肌に張り付く前髪をかき上げた陸は昂った気持ちを押さえきれず舌なめずりをした。

 唇をたっぷり濡らしている甘い蜜はさらに体躯を燃やす。

「麻衣……ほらっ、出来るでしょ?」

「やぁっ……この格好、恥ずかし……い」

 枕に顔を押し付けた麻衣がイヤイヤと体を捩る。

 そのたびに揺れる丸みを帯びた白い腰に目を奪われる陸は手を伸ばしてしっとりとした手触りの肌の感触を楽しむように柔らかい肌に食い込むほど指先に力を込めた。

 一瞬だけ拒むように強張った麻衣の身体から力が抜けると少しだけ背を反らした。

「出来るじゃん。やらし……丸見え……」

「言わないでぇっ」

 枕を通して聞こえる麻衣のくぐもった声は半泣きだった。

 だが濡れて熟した果実は自らを捧げるため妖しい輝きを放つ、陸は心臓がドクンッと跳ね全身を巡る血が熱を帯び加速するのを感じた。

 介添えの必要ないほど硬さを増し意思を持つ自身が果実に触れた。

 熟した果実は触れただけで自身の楔が呑み込まれそうなほど柔らかく、そして入り口に先端が触れるたび奥へと引き込もうと生き物のように蠢いた。

「麻衣が嫌なら止めようか?」

「意地……悪っ」

「どうして? 俺いつでも優しいでしょ?」

 陸は顔を上げて振り返った麻衣の泣き顔に微笑んだ。

 けれどその麻衣の泣き顔はますます朱に染まりジワジワと全身へと広がっていく。

 微かだが麻衣の身体が熱くなり震えていることに気付いた陸だが緩い動きを止めず皺くちゃのシーツを握り締める麻衣の後ろ姿を黙って眺めていた。

「…………て」

「ん?」

「この、まま……して……」

「でも、この格好は嫌いなんでしょ?」

 いつもより意地悪だなと苦笑いしながら汗の浮かぶ麻衣の背中に手を這わせた。

 それだけで感じたのか体を震わせ甘い吐息を吐く。

 もう何時間も高められるだけ高められながら頂上へ上らせてもらえていない麻衣の身体は限界に来ているはず。

 陸は確信しながらさらに口を開く。

「後ろからしてもいいの?」

 どの体位をしてもいつでもこれだけは嫌がる麻衣、それをあえて自分からして欲しいと言わせたい。

 何時間も愛撫を続けたのはこの一言を聞くためだと気付いているのか気付いていないのか麻衣は陸の思惑通り更なる高みへの合言葉を口にした。

「後ろから……して」

「麻衣がお願いしたんだからね?」

 ワザとそんな風にもったいぶりながら自身も一度目の限界が近い。

 陸は甘い匂いを撒き散らす果実を貫いた。


end
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