2010、夏祭り:-one-6


 焦らしているつもりはないけれど、結果的にそうなっていたのかもしれない。

 肌の色が透けそうなほど薄い下着に歯を立て、その下にある胸とは違う柔らかさのヒップに感触を何度も味わっていると、麻衣が顔を上げて振り返った。

「もう、陸ぅ」

 眦に浮かんだ涙と拗ねた口元が陸の意地悪心をくすぐった。

 陸は前歯で下着を引っ掛けて脱がしに掛かろうとしたが、スルッと抜けた下着は麻衣の肌に音を立てて戻った。

「あぁっ」

 パチンとゴムが弾けた軽い音に麻衣の短い声が上がる。

「やらしいなぁ。今ので感じちゃった?」

「もう……ちゃんと、して」

 顔だけでこっちを見て恥ずかしそうにそんなことを言う麻衣に陸は身体中の血が沸騰するのを感じた。

(反則、今のはかなりきた)

「ちゃんとして欲しいの? 焦らさないで脱がせて欲しい?」

「んっ……」

 麻衣の頭が頷いたように見えた。

 本当は麻衣の口から言わせたいところだけれど、自分も焦らしてばかりでは辛くなってくる。

 今度は焦らすことなく片手で下着を脱がせに掛かる、うつ伏せの麻衣が脱がせやすいように腰を浮かせる仕草が艶かしい。

「腰、少し浮かせて?」

 言われた通り腰を浮かせる麻衣、陸はベッドと麻衣の間に腕を差し入れた。

「きゃっ!」

 陸は一気に腰を持ち上げると麻衣の足を割って身体を滑り込ませた。

「り、陸っ! こんな格好は……」

「やらし……もう濡れてる」

 一番苦手な体勢に麻衣が腰を揺すって逃げようとするが、陸は双丘に置いた手を左右に開いた。

 顔を近付け妖しく光らせるぬめりへと舌を伸ばすと、頭の芯を痺れさせる甘い香りが強くなった。

「ああ……っ、んぅ」

 洗い立てのボディシャンプーの後に舌が奥から溢れる甘い蜜を味わうと陸は喉を鳴らした。

 舐めても舐めても溢れる蜜の甘さに、夢中で舌を動かしていた陸は片手でパジャマのズボンを脱ぎ捨てる。

「さっきしたばっかりなのに、すごい感じてるみたい」

 それは麻衣への言葉だったが、自分も負けないくらい分身が下着を押し上げている。

「陸……こっちの向きは恥ずかしい、から……」

 麻衣がごそごそと身体の向きを変える間に陸は下着を脱いだ。

「何度もしてるのに、まだ慣れないの?」

 仰向けになった麻衣に覆い被さりながら陸は笑った。

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