2010、夏祭り:-one-4


 柔らかい身体を抱きしめて、首筋に顔を埋めると吸い込んだ甘い香りに、頭の芯がじわりと痺れていく。

 キスだけで蕩けそうな顔を見せる麻衣の手が、背中を探り襟足の髪をくすぐるように撫でるのが気持ちがいい。

「お喋りするんじゃなかったの?」

「もうした、ってお仕置き中だよ。なんでそんな嬉しそうな顔してるの」

 同じように髪に手を入れて、留めていたクリップを外してベッドサイドへ置くと解かれた髪が枕に広がった。

「これがお仕置き?」

「もっと酷いことされたいの?」

 鼻先が触れ合うほど顔を近付けて、吹き出した二人は唇を突き出した。

 チュッと音を立てて離れた唇に笑みが浮かび、互いの熱い吐息が絡み合うと二人を包む空気が変わった。

「俺が酷いことなんて出来るわけないでしょ?」

「ほんとに?」

「いつも大切にしてるのに、伝わってないなら、もっと大切に……」

 麻衣の人差し指が唇に押し当てられて言葉を遮られた。

 どうしたのかと目だけで問いかけると麻衣は目元を赤く染めた。

「お喋り再開なの?」

 そう言った麻衣の指が陸の薄い唇をなぞった。

 たったそれだけのことで背筋がぞくりと粟立ち、なぞられた唇は薄く開き溜息にも似た吐息が零れる。

「まさか」

 陸は笑って離れた麻衣の指を唇で捕まえる。

 細い指を口に含んで舌先で愛撫するうち、麻衣の瞳が少しずつ潤みはじめていった。

「ふふ……くすぐったい」

「じゃあ、次は気持ちいいこと」

 麻衣の指を離した陸の唇が次に捕らえたのは、くすくすと笑いを零していた麻衣の唇。

 笑みを浮かべる唇をまるで猫がミルクを飲むように舐める。

 初めは薄く開いていただけの唇が少しずつ開き、開いた唇から顔を見せる赤い舌がやらしく誘う。

「ん……ぅっ」

 無自覚に誘う舌を絡め取るように吸い上げると麻衣が鼻にかかった甘い声を出す。

 角度を付けて重なった唇と深く絡み合った舌、溢れる唾液を飲み込む時間も与えないほどの激しいキス。

 一度火が点いてしまうと止めることは出来ない身体は、さらに強く麻衣を欲しがろうとして手を伸ばす。

 パジャマの裾から手を差し込んだ陸は滑らかな肌の感触を確かめながら手を滑らす。

「や……っあ」

 わき腹を指で撫でると麻衣が身体を捩って逃れようとした。

「じゃあ、こっちは?」

 柔らかい膨らみの上に下着はない、直接触れた膨らみを手で覆うと、手の平に硬くなり始めた尖りを感じた。

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