2010、夏祭り:意地悪な恋17


 和真は有言実行の人、そういえば中学生の頃の目標でそんなことを書いた覚えがあると思い出していると、和真が顔を上げる気配がした。

「まだ触ってないのに、どうして下着が汚れてるんだ?」

 浴衣の裾を大きく開き、その間に膝を付いた和真が意地悪な顔をする。

「し、知らない……」

 通用するはずもない嘘を口にすれば、和真は唇を吊り上げて意味深に笑った。

「知らない? ここだぞ? 色が変わって……それにヌルヌルしてる。ああ、触っていたらもっと広がったな」

「あ……あっ」

 下着越しに敏感な場所を指先が擦る、擦られる度に腰は揺れて熱い雫がまた下着を汚した。

 和真のものを口で咥えただけなのに、感じてしまう自分の身体が恨めしい、恨めしいはずなのにそのことを指摘されて、羞恥と一緒にゾクゾクする快感に襲われた。

「このままでいいのか? ますます汚れて……それにやらしい匂いがする。雄を誘う雌の匂いだ」

「言わない……でぇ」

「こんな下着を着けたまま帰るのか? 今度はそのつもりがなくても、お前の匂いに釣られた男に犯られるかもな」

 ゾッとするような事を口にして、それから和真は濡れた部分から手を離し、足の付け根から指を這わして下着を引っ掛けた。

「どうする?」

 下着を引っ張られると、ぬかるんだ場所に下着が食い込みグチュと音を立てた。

 他に選択肢があるわけじゃない、答えは一つしかないと分かっているのに、それを口に出すまでは和真が許してくれることがないことは嫌というほど知っている。。

「ぬ……脱ぐ」

 正解はこの一つしかないはず、それなのに和真が笑った。

「な、に……?」

「いや? 思わぬ模範解答に驚いただけだ」

 え……他に選択肢があったの?

 動揺を隠せず瞳を泳がせるかのこに、和真はその反応も満足と言いたげに立ち上がると、下着に指を引っ掛けたまま弄んだ。

「お前のことだから、てっきり泣きそうな声で、脱がせてと頼むと思ったが……、まさか自分から脱ぐと宣言するとはな」

「……なっ」

 脱ぐとは言ったけれど和真の言う通り、脱がされることを想定していた。

 こんな場所で自分から脱ぐことに抵抗を感じているかのこに、和真はダメ押しとばかりに耳元で囁いた。

「初めてじゃないだろ。脱げよ、今、ここで」

 その言葉で蘇る記憶、あの時も同じように和真の前で下着を脱いだ。

 場所は違うのにあの夜と同じようなことをされている、この後も同じようなことが待っていると思うと、身体の熱が上がるのを感じた。

「焦らすことは得策じゃないぞ」

 その言葉の意味を自分の身を持って経験しているかのこは、わずかに和真の視線から逃れるように身体を横に向け、浴衣の中に手を入れた。

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