2010、夏祭り:君の隣25
振り返った祐二は浴槽から手を離して伸ばした先は自身ではなく貴俊だった。
「は……やくっ、貴俊」
手を伸ばして懇願すると貴俊の瞳が凶暴な色に染まり、素早く伸びてきた手が浴槽から身体を引き剥がされた。
貴俊に背中を向けていた身体はあっという間に床へと押し倒され、視界には欲情に染まる貴俊の顔と浴室の天井が飛び込んで来た。
「もう……祐二、ずるいよ」
「な……にが、だよっ」
「そんな風に可愛くねだれたら、優しくしたいと思うのに乱暴にしちゃいそうだよ」
「訳の分かんねぇこと言ってねえで、早……アアァッ!!」
再び一気に挿し込まれた指が容赦なく抉り、腹に付きそうなほど勃ち上がった自身を激しく扱かれる。
激しい快感の海へと放り込まれた祐二の絶え間ない喘ぎ声が狭い浴室に響く。
あっという間に上り詰めた祐二の身体は激しく反らせながら、さっき出したとは思えないほど大量の白濁を吐き出した。
「すごい出たね……」
祐二がボンヤリする頭のまま貴俊の声を聞いて視線を向けると、自分が出した大量の精で汚れた指を舐める貴俊と目が合った。
(すげぇ、やらしい顔してる)
いつもは端整で品よく笑っている生徒会長、とても同一人物とは思えない、淫靡な眼差しに祐二は喉を大きく上下に鳴らした。
「次は……俺ので達ってね」
赤い舌で唇を舐めた貴俊に見惚れたまま、太ももに手を置かれた祐二は一気に貫かれた。
しっかり解された場所はわずかの抵抗も見せず貴俊を受け入れ、熱い昂ぶりに絡みつくように蠢く。
「あああ……っ」
達したばかりの祐二の身体は敏感で貫かれた勢いで先ほどの残滓を零すと、少しも萎えることなく硬さを保ったまま祐二の下腹を叩いた。
「祐二、祐二、祐二……」
貴俊が手を当てた膝裏を押すようにして身体を倒してくる、名前を呼ぶ貴俊の唇が近付いてくると苦しい体勢で唇が重なった。
上も下も嵐のような激しさでかき回されて、祐二は必死に貴俊の首にしがみつき声にならない叫び声を上げる。
「貴……俊っ」
キスの合間に名前を口にしながら目を開いた祐二はすぐ側で嬉しそうに笑う貴俊と目が合った。
心が嬉しいと感じるよりも早く反応した身体が中にいる貴俊をキツク締め上げる。
辛そうに眉根を寄せて短く息を詰めた貴俊はフッと小さく息を吐いて笑うと汗で額に張り付いている祐二の髪をかき上げた。
「好きだよ、祐二」
「お、……れも!」
今日何度目になるか分からない貴俊からの告白の言葉、聞き飽きているはずなのにそれでも痛いほど胸を高鳴らし、泣きたくなるほど幸せな気持ちにさせた。
(俺おかしい、ぜってぇおかしいんだ。こんなに貴俊のことが好きだなんて、ぜってぇありえねぇって思ってたのに……)
蕩けていない思考の一部分がいくら突っぱねようとしても、心と身体のすべてが貴俊を好きだと叫んでいる。
力強く腰を打ち付ける貴俊の身体にしがみつく祐二は自分から唇を近付けた。
「俺の……、俺だけの……もんっ、だからなっ!」
自分を抱く腕の強さも、自分にしか見せない笑顔も、自分しか知らない色気のある表情も、他の誰にも教えたくない。
普段は決して口に出来ない本音に貴俊の動きは激しさを増し、祐二はさらに激しい波に攫われた。
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